メタクロマジー: トルイジンブルーの苦悩 日曜日の夜。家で仕事をしながら夕飯のことを考えていたらインターホンのチャイムが鳴る。
「こんばんは。突然ごめん。」
扉を開くと同じ学校に勤務している保健室の先生、紫嵜流がいた。
「実は、ご飯作りすぎたから持ってきたんだけど。」
嘘。明らかに2人分作ってきている。…あの日からだ。あの日から流先生はご飯がどうとか色々理由をつけて私の家にやってくるようになった。
「お土産のお菓子も持って来た。あの店の練り切り餡が好きって言ってたよね?」
流先生は何度も突き放しては逃げている私を必ず追いかけて捕まえようとしてくる。年頃の2人が学校という狭い世界でずっと一緒にいたら周りからどうなのって噂されるだろう。彼は自分の素性は全く明かさない人にずっと振り回されている。こんな人間の相手は嫌でしょ?流先生。それなのに。それなのに….なのに!
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