束縛ラプソディ薄暗い部屋の中アッシュは啜り泣くルークの背中を摩り続けていた。
普段ならばもう泣くなと止めているところだが、今回ばかりはアッシュもルークを止める気にはなれない。
こいつは、あれほど楽しみにしていたと言うのに。
「うぅ…どうして…!どうしてだよ…!」
「ルーク…」
傍に落ちているのは修学旅行のしおり。中身はぐしゃぐしゃに破られているが表紙は無事で、弟がどんな思いで地面に叩きつけたのかを物語っている。
クラス会が終わり、帰宅してすぐ母から告げられたのは、やはり修学旅行には行かせられないという旨の内容だった。
それを受けて弾かれるように弟の部屋に向かえば、聞こえたのは紙を一枚一枚破る音。
ルークが、表情が抜け落ちたような顔でしおりを引き裂いていた。
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