延長戦(オフェぐだ♀)「立香、手が止まってるわ」
「あ、ごめん」
オフェリアの指摘で飛ばしていた意識を戻す。試験が近いから勉強に付き合ってって言ったのは私なのに、ぼうっとするなんて失礼だ。眠い訳ではなくて、単純に目の前の彼女に見惚れていた、だけなんだけど。真面目な彼女に言えばきっと怒られてしまうから、ぱちん、と頬を叩いて気を正す。
「眠いの?」
「ううん。集中しないとって気合を入れただけ」
成績優秀で真面目なオフェリアは問題集をもう二周は解いているだろうに、私はまだ一周すらしていない。しかもそれはこの科目だけじゃない。今回はまだ手をつけるのが早い方だ。オフェリアと一緒にいられる口実になるって気付いたときの私は天才だと思ったけど、彼女といて勉強に集中できるはずはなかった。うーん、まさかの誤算である。
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