お義兄様と呼ばせていただいても?お義兄さまと呼ばせていただいても?
「シルバーさん。どうか、我輩とセベクさんとの交際を認めていただけませんか?」
「はぁ?」
いつも温和な雰囲気を纏うシルバーからは想像できない鋭く短い返答に、ビクリと肩を振るわせた男はそれでもめげずに乾燥で所々ひび割れた唇を開く。
「我輩の愛おしいひと、暗闇を照らす雷光。我輩の心と鼓膜を打つ雷鳴。彼と再会できたことは我輩にとって史上の喜び!この感動を世界中に教えて差し上げたいくらいです!」
「はぁ?」
身振り手振りを交えて感情的に話す男の口から紡がれる単語から推察するに、「セベクと会えて嬉しい」と言いたいらしい。ポムフィオーレの副寮長と似て回りくどい言い方だ。聞いていて心がモヤモヤするのは大切な弟弟子に素性の知れぬ人物が纏わり付いているからだろう。
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