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    楽しくお絵描きしたいのだ。いろんな影響を受けてます✨🎵

    いろんな絵を、楽しく描こう✨
    遅咲きのアニメ沼

    いちにち一絵を描いていきたい(^∇^)

    絵は模写と二次創作 一次創作 アナログデジタル下手なので観ても楽しくないよ✨
    自己満足の絵。



    【個性が出る絵を描きたいな✨】
    何が心地よい絵かを模索中

    模写練習あり(^∇^)(療養中のためと、脳を活性化させるため、練習中)
    アナログイラストが多い
    ↑↑↑
    真面目に描くのはこれだけ
    調子良いときと悪いときがはっきりする
    (時々発作が起こります療養中)

    楽しくお絵描きが一番

    明るい絵からダークな絵まで

    好きを描く

    小説小話、マンガ、かけません🎵想像力不足

    メイン→らくがき、練習、お絵描き!

    その他→雑多


    アナログイラスト
    デジタル(アイビスペイント)→→ぐだぐだお絵描き雑多
    アナログからデジタル時は描き慣れてる手です✨

    変わらないのは持っている気持ち
    いろいろ描けるようになるまで練習中\(^o^)/
    loveはすべての作品に✨

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    pixivの小説機能が出来た頃にかいた作品の一部
    ファイナルファンタジー10とメガテン3を知っている方がみるとあ、って思うかもしれません?

    文章力はないです。小話の最初のはなしのひとつ

    この話がきっかけで、オリキャラがすっごく楽しめたうふふふ。

    のちにBL作品になっていく

    #クロスオーバー
    crossover
    #オリキャラ
    original characters
    #異世界転移
    crossOverToAnotherWorld
    #メガテン3
    megaten3
    #ファイナルファンタジー10
    finalFantasy10

    黒い水晶・・・・・おお、
    おまえが此処にたどり着こうとは・・・・・
    何故におまえが選ばれたるか・・・・・
    定めに適わぬ心持つおまえ・・・・
    名も無いコトワリのおまえが・・・・
    おまえが心に望みたるは・・・
    未来の定まらぬ・・・・自由なる国・・・
    おお・・・・
    おまえは世界の過ちに学ぶことなく
    自由を求めるというのか・・・・
    ・・・・大いなる意思は、
    かつての世界に自由を与えた。
    そして、さらなる高みに上ることを願った。
    だが、自由はその意に背き、
    悪魔を生み、闇を興し、破壊を呼んだのだ・・・・
    自由とは災いの種。
    それがもたらすは滅びのみ。
    我は許さぬ!
    滅びのための世界など!
    我が力を与えるは
    コトワリ定かなる、完全なる創世のみぞ!
    異形なるものよ、おまえは自由に溺れた!
    あの天使が堕ちた時のように!
    消えよ、ヒトなきものよ!
    我が怒りの光にて、その存在を終えよ!



    【異界の来訪者~トウキョウ~ボルテクス界】

    ボルテクス界とは・・・・・
    トウキョウ受胎と呼ばれる異変が起きたときにできた世界の名称である。
    この出来事を引き起こした「氷川」なる人物の仕業でありまた、それを利用としていた悪魔たちのよるものでもある。
    世界は丸く球体、真上を見上げると光のその向こうには街が見える。
    カグツチと呼ばれるその小さき光の球は、赤子のように丸く、街に守られているかのように、輝いて、中心に浮かんでいる。
    その名の通り、受胎なのである。

    生まれ来る場所。

    人は死に、アクマが徘徊するこの世界において「コトワリ」と呼ばれるものを持つ人間はその姿が死人と異なり、青白く思念体にはなっておらず、「人」として存在し、その理想を実現する為、戦い生きていく。
    空に光る、あの球の元へとたどり着くため。
    悪魔を従えてこの世界を生き残るのだが、時々例外たるものの存在もあった。
    何の「コトワリ」も持たないものも現れる。

    彼は、何を求めて何を探しているのだろうか?
    人として生きる彼を天にそびえるカグツチが見守る・・・・
    いや、地に深く古くからこの地を守る混沌王が見守る・・・・・
    異界から来し、モノが見守る・・・・

    彼の力にてこの世界を駆け抜けるのか・・・・

    全ては、生き抜くためのコトワリなり。



    人としていなければ来ることが出来るのであろうか・・・・「死」を持つことによってこの世界は成り立つ。
    この、「異界」であるボルテクス界もその一つである。
    人として生きるか、魂として生きるか。
    アクマとして、生き残るか・・・・



    ここに着てからどのくらいなのだろうか・・・・・
    見渡す限りの、砂漠。歩いても歩いても、砂漠のまま。
    砂の中。
    熱を持っている砂は、素足にだいぶ堪えてくる。いや、この暑さは何も身につけていない上半身に突き刺さる。

    ・・・・本当に熱いのだろうか?熱いと感じるから熱いんだろうな。

    真上には眩いくらいの光。
    「くりすたる?球体?」と、つっこみを入れたくなるくらいの眩しさ。
    でも、不思議なのはその光の向こう側である、上空にも【何か】があるってことだった。
    青い空ではない何かが。

    とにかく、街を探し、この暑いところから開放されたい。ただそれだけだ。

    しばらく歩いてか、変わった建物が近づいてきた。なんてぇか、石のような建物とでも言うのか。
    てか、近づいているのはオレ様のほうか?んなことは関係ないか。ま、とにかく、水だ。

    だんだん近づくにつれ、その建物が異様な雰囲気を出していることに背筋が凍りつくような感覚になる。そうだ、見たことあるじゃねぇかこんな建物を。
    長らく見てなかったから忘れちまってた。

    入り口は扉に閉ざされてるかと思いきや自動に開いた。

    電気はどこからかきているのか?ここは、近代化はしているが、しっくりこねぇな。

    建物に入ると、外とは違うひんやりとした空気が心地よいように感じた。
    床の塗装がはげているのが見える。
    中は部屋がいくつかあり、赤い印の奇妙な扉もあった。
    ところどころの内装から察するとそこは、病院のようにも見える。

    薄暗い中を歩きながら、人気のないことに気づくだが。
    誰かに見られている。
    何かの視線をいたるところから感じ取ることが出来る。
    「誰かいやがるのか!」

    声を出してみても誰もいねぇ。
    青白いものが宙に浮いているだけ。だが、何かいる。
    ゆっくりとだが、すぐに戦闘できるような態勢を作りつつ、そこを散策して行く。

    正面から入り、突き当り左右に分かれている。
    左は奥のほうに扉。
    右は直ぐ左に曲がるようだ。

    「風?か?」

    右のほうから冷たい風が流れてくる。危険を承知でそのほうへ足を進めた。
    少し歩いた角を左に曲がった時、見たことのない、異様な青い大きな鏡のような、形のものを発見した。
    風が流れているようだが、吸い込まれそうな青い奇妙なもの。
    その光景に興味本位で、そっと手を触れてみる。
    触れるのと同時に、光が瞬き、目をつぶる。

    「う。」

    後ろにゆっくりと下がりながら、壁に当たるまで気がつかなかった。


    ゆっくりと目を開けると、目の前には変な生物が・・・・・不思議そうにこっちを見ていた。

    「あくまだ、」「にんげんだ」「あくまだ」

    「あ?」なに言っていやがる!
    と言っても、奇妙な姿の「人」だ。
    おびえているらしくビクビクと身体をさせている。
    【カブキチョウ捕囚所・・から】

    ここがカブキチョウ捕囚所という場所だと解った。
    それを教えてくれたのが、ふにょふにょと動くマネカタという生き物。
    オレ様が触ろうとした鏡から現れた人間のような生物。
    最初は何だこの生き物はふにょふにょしてやがって、など、思っていたが言葉が通じることがわかると、きもかわいいというやつだ。
    「に、ニンゲンだ」「お、おどろかない、なんて」「あくま?」「イレズミ?人修羅」
    などと言いながら、二、三匹以上。どこからか出てきて。正直、最初は少しおどろいたが、すぐに慣れた。
    オレ様、人見知りはしないからな。

    「で、あんたたちは何者なんだ?」
    聞いてみると、束ねているリーダーのが説明してくれた。
    まず、そいつはフトミミという名前で、マネカタという生き物で、ここは、カブキチョウ捕囚所で、故郷に帰るために旅をしている。どうやら、フトミミは予知できる能力を持っていて、ここから脱出するときに何かを感じて、待っていたという。
    「オレ様をか?」
    「ええ、」
    「おもしれぇ話だな、こりゃ、また毒にもあたったかぁ?」
    「こちらも、驚いているのですよ。人としているあなたに、」
    「笑えね冗談だな、何が言いてぇんだあ?」
    「人として存在していることが異形なことです。この世界では、」
    「?」
    こういうことらしい。
    トウキョウという街が何かの力で丸くなったとき、人間はいなくなってしまったらしい。意志が強いだか、成仏できないやつらがさっきの青白いものだそうだ。
    で、オレ様みたいにニンゲンとしていることができるのは、コトワリというものを探しているやつだというが・・・・まったくどういうわけか・・・・。

    「で、おめぇらについていけば、なんとかなるんだろう?」
    一通り話が済んで、わけがわからないのはこれが初めてじゃねぇし、前にもあったことだから直ぐに理解するだろうと考えながら、この、マネカタの集団と行動を共にすることにした。
    砂漠に逆戻りであったが、今回はさほど嫌な気分にはならずに歩くことができた。
    「で、どこにいくんだよ?」
    前を歩くマネカタにきくと、ふにょふにょしながら
    「あ、あさくさ、」
    と答える。
    「あさくさ?なんだそりゃ。」
    「これから行く場所なんだ。」
    フトミミはさらりと言うが、この砂漠の中を歩くのは正直しんどい。
    最も、この数のマネカタ、ざっと二十名って言うのか?ぞろぞろと、何かの行進のようだ。
    「それから、できれば・・・・・」
    その後の説明に、ここにもそんな類がいるのだと感じた。

    初めて魔物、いや「アクマ」に出会ったのは、だだっ広い砂漠で、稲妻とともに現れた。
    寄ってくるというよりは、急に現れた。と言っていいのだろうか?
    フトミミの話だと、地霊カハクと妖精ピクシーと夜魔リリムと呼ばれる、かわいらしいアクマだ。寒そうなかっこしやがって。身体冷えたらどうすんだろうな?
    だからと言って、オレ様そんな趣味はないが・・・・
    しかしだ。
    「どう戦えって、いうんだぁ?」
    攻撃できねぇよ。
    なんか、こう。人形みたいなのもいるしよう。
    土産にしてえじゃねぇか。生まれてっかもしれねえ孫によぅ。
    「こんなのに攻撃しろってんのが!」
    フトミミに怒鳴るも、すでにその場にはいない。
    「アギ!」
    「ちょっとまて!火炎系魔法かよぅ!」
    びびってはねぇが、驚いているの確かだ。
    いっちょ前にしっかりとした火炎魔法。カハクってのから飛んできた。
    当たったら、火傷ですむか?
    その魔法攻撃によってマネカタはアタフタするは、逃げようとすると追っかけてくる・・・で、どうすることもできねぇ。
    仕方なく、ここは
    「なぁ、やめねぇか?な、危ねぇしよう、こんなことしたってなんにもなんねぇぜ?」
    とにかく、会話してみる。すると、なにやら話しているようだ。
    「もしかして、言葉わかるんか?」
    とにかく、ここはスカウトみたいな交渉術にかけてみるか・・・・・
    どう話していいのか、言葉がうかばねぇ・・・
    スカウトはする側じゃねぇからな・・・・。
    この沈黙からどうするか・・・だ。
    「な?戦いたくはねぇんだが。」
    ここは泣く子が黙るくらいのスマイルだ。うちの息子はすぐにぴいぴい泣いちまうがな。
    カリスマみたいなのは常にあるんだがよう。
    どうやら話がまとまったらしく、こちらを向いている。

    「おじさま、すてきだから。ナカマになって、あ・げ・る・ハートマーク」
    意外だ、一番アクマらしい翼を持つこのリリムから、こんなことを言ってくるとは思いもしない以前に。

    「は?説得?何だよそれは?」
    「早めに言うつもりでいたが、特に言う必要もないと感じていたの、」
    で、と話は続いていく。説得とはアクマをナカマにするための術だそうだ。
    その説得には色々な要素がなければ仲間にはならないそうだ。
    身についているスキルのようなもの。
    「アナライズ(検索)してみると、そこそこにレベルは高く、力も強いですね。素早さもありますし、魔力も体力も全体的には優れていますが、運のよさが少し足りないと言うか・・・・スキルはカリスマとスカウト後は、はぶきますが。交渉能力には優れていると感じます。」
    「そうですか。」と・・・・。長い説明だが、運がないのは今も昔も変わりねぇか?でもな・・・悪運は人よりは最強だとは思うぜ。
    あ、こいつ、フトミミの話し方は誰かに似ていて、いやに懐かしく感じる。
    「色々と、わかんねぇことがおおいからよ。早く言ってくれよな!」
    と念を押しつつ、このアクマのリリムを連れて、目的地のアサクサめがけて進んでいた。

    今の天にそびえるカグツチは半天くらいか。どっちに行くのかわからねぇくらいだ。
    「旧世界の・・・みちだ。」「はい、うえい。」「イケブクロ近い」
    毒の沼地を越えてうっすらと遠くに見えてきたのは、道だ。
    「首都高ですよ。あの道からイケブクロまでなら直ぐです。」
    「そうか、やっとこだな。」
    一息を尽きたいが今日はどうやらあの道まで行くようだ。
    あれから、アクマは出てこないから助かったが。
    フトミミが奇妙に言ったことがある。「ここら辺では、めったなことでない限り、リリムのような夜魔や、地霊の類は出てこない。何か異変でも起きているのか・・・」ぼそりと言った。縄張りがあるのか知らないが、向かってきたら会話をする。これで回避成功だ。

    戦闘を回避した後、フトミミが言っていたコトワリの話を聴くことにした。
    「コトワリ・・・道理。カグツチに登れば、世界を作りかえることが出来るほどの力を得ることが出来るそうです。しかしそこにいくためにはかけ引きがあるのです。」
    「かけ引き?命とかのか?」
    「そうです。コトワリは持つものによって世界が異なります。きっとそれも、カグツチの意志で動かされているのかもしれませんが。何も持たないものがあのカグツチに登ってしまったら、どうなるのでしょう?」
    「そこに行っても・・・・」
    「戻れないかもしれませんが、戻れるかもしれませんね。私には今は何も見えないですよ。」
    見えないか・・・


    道に着いたのは、それから数時間後。
    砂漠を抜ける為の道。
    この下で休憩をすることになったのは、フトミミの言葉一つである。
    少しの休憩だが、ゆっくりと休むすべを前いたところで散々教わっていた為か、どんな場所でも休めた。
    「おじさま、お願いがあるの。」
    仲間になったリリムが、少し疲れた顔で見ている。
    「どうした?体調悪そうじゃねぇか?」
    「大丈夫なんだけど、お腹すいたの。」
    「おぅ、そういやぁ。なんにも食ってなかったな。探してくるか。」
    「うぅん、あのね。」
    その後、リリムの行動にすぐにフトミミのところに怒鳴りに行ったのは言うまでもないが。


    「おい!どういうことだ?」
    「どうしました?さっきより疲れている様子ですが。」
    「ったりまえだ!」
    フトミミに言いに行ったことで、頭に血が上がったせいか少しふらついた。
    「ま、座ってください。」
    「あ、ああ。」
    「ハイ、これ飲んでくださいね。」
    手っ取り早く出された小瓶を、ちょうど座ったときに出された。
    「栄養ドリンクですよ。さっき見つけましたのでどうぞ。」
    「みつけたって、落ちてるものなのか?」
    そうらしかった。後から知ったのだが、この地面には色んなものが落ちているそうだ。アイテムから宝石の類、お金など。
    「大丈夫(だと思います。)」
    いや、何か聞こえない部分で、なにか言わなかったのか?
    マネカタが見ている中、何か忘れている気もしたがそのドリンクを飲む。
    「マッスルドリンコ・・・味方単体にランダムで効果を発揮する飲み物。体力回復はするが、半分の確立で様々なおまけがついてくる。んです。」
    「!?」
    いや・・・冗談は辞めてくれや。オレ・・・さま?

    「・・・・」
    「不機嫌な顔してる?さっきはありがとう。おじさま?」
    もう何も言うな・・・・オレ様のほうが何も言えねぇ。
    煮ても焼いても食えねぇやろうってわけだ・・・そんな性格が似ている・・・・。
    ?誰に?

    少しはなれたところで、リリムと一緒にいた。
    「おじさま、リリムはさっき回復魔法を習得したんだよ。」
    うれしそうに飛び跳ねるリリムに怒る気も失せた。
    確か、マガツヒとか言ってたな。それ吸わないとこの世界では生きていけないそうだ。

    しばらくして、マネカタがアイテムを持って駈けてくる。
    どうやら回復アイテムらしい。
    にらみを利かすと、リリムも怒っているようにした。
    マネカタのがらくた集めが好きな少年は、アイテムを置いて逃げていってしまった。
    「おいてっちゃった。」
    リリムがアイテムを拾い上げて持ってくる。
    「大丈夫、これはディスクローズっていうの。沈黙回復するからぴったりだね。」
    リリムに使ってもらい何とか復活はした。
    が、
    おとなげねぇな。オレ様

    フトミミたちのところに戻ると、出発のしたくをしている。
    この道を越えて、イケブクロに向かうのだろう。

    途中の道のりで、アクマは群れをなして襲ってきた。
    オレ様は得意の拳で殴り飛ばす。一撃でアクマは赤い光を放ちながら、空に上がっていく、そういやこんな光景をよく見ていたなぁ。
    まぁ、かわいい子や子供老人には極力説得を試みる。が、空に浮かぶカグツチが最大の輝きのときは説得が効かない。そのほかでも属性ってヤツで駄目な時もある。そのときは、心を鬼にするしかねぇ。
    あ、拳が効かねぇときは魔法で対処してもらう。
    リリムが得意とするのは、電撃系。怒るとすぐにそれを撒き散らすから大変だが。
    もちろんだが、傷つきゃ回復してくれて、堂々と戦える。
    まるで、フトミミはそうだあいつだ。三ヶ月と十年一緒に戦っていた仲だ、色々あったから忘れたくても忘れられねぇ。そう考えると早く帰りてぇもんだ。異界に。
    アサクサに行くためには、イケブクロを通るらしい、そこがマネカタたちには大変だという。ゴズテンノウというアクマがいるらしい。そいつは、マネカタたちを利用して悪いことを企んでいる。と言うのだが。
    この道を降りる寸前、フトミミや、リリムが、騒ぎ出した。
    何か、現れる。
    得体の知れないものなのか?
    黒い光とともに邪悪な感じが目の前に現れた。
    バイクにまたがった、骸骨すがたのアクマだ。
    「魔人ヘルズエンジェル。」
    フトミミが一歩下がって呟く。
    異様な感じは漂うが、大丈夫なような気がする。慣れてきたせいか、それとも相当レベルが上ってことか?
    戦闘になるのは避けられないか。
    「おい、オレ様がこいつを何とかするから、その隙に逃げろ!」
    フトミミに叫ぶように言った。
    だが、何か考えているのかわからねぇが、表情を少し変えながら、黙っている。
    じれってぇ行く気が無いんだら仕掛ける。

    「リリム!行くぞ!」
    リリムの雷魔法を打ち込んだ後、殴りかかりに行く。
    クリティカルヒット!か!
    よろけているアクマに挑発的に誘い出す。相手はバイクだ、オレ様は走るしかない。追いつかれる前に、行動を起こす。
    リリムは攻撃・防御系を下げる魔法を唱える。何度か同じ魔法をかける。
    相手がひるんだ隙を狙って、一撃蹴りをお見舞いする。
    バイクごと転んだアクマは、イケブクロとは違う方向にスピンして、激しく横にあるガードにぶつかった。砂埃が舞い上がり視界がぼやける。

    「いまのうちだ! 早く行け!」
    大声で叫びながら、砂埃の中に突入した。
    後ろを見るとどうやらマネカタたちは運良く、みんな逃げたようだ。
    ほっとしながら、視界が回復してきたこの場所を、このアクマを見ながら・・・

    起き上がったアクマを見上げる。馬鹿でかい相手を見ながら、肩をほぐし首に手を当てて鳴らした。
    「さて、本番と行くか。」
    大きな相手に飛び掛り、その相手に拳を振るう。リリムも応戦している。
    殴り飛ばし、攻撃を食らい、その繰り返しであったが、リリムの覚えたての回復魔法が
    身体を癒す。肩で息をしているような姿のリリム。
    「そろそろ、やべぇか?だが、こんなとこで、くたばるかよ!」
    懇親の一撃を叩き込む。

    アクマは奇声を上げることなく赤い光を舞い上げ消えていった。


    「リリム、大丈夫か?」
    「おじ様~怖かったよう~」
    こっちもだ。とは言わないが、抱きついてきたのでそのままに、マネカタたちのいるイケブクロに向かう。
    その途中にも、さっきの大物と比べると雑魚アクマが寄ってきた。

    睨む・脅すなど、誰かに似てきそうなスキルを使って追い払うことに成功した。
    少しながらアイテムと、少し強くなったリリムがいる。
    そして誰一人と欠けることのない、マネカタたち。
    コンクリートの石のようなところから、砂に足が移動するとなぜかほっとした。
    柔らかいからか?それとも、この道が少し大変だったか・・・・・
    道の下でマネカタたちは待っていた。
    アタフタしているのは変わりないようだが、フトミミの姿がない。
    「あいつどうしたんだ?」
    と声をかける。
    「フトミミさん・・見に行くって。」「早く助けないと」
    どうやら、一人で中に入ったらしい。
    「イケブクロはまだアクマがいるんだろう?」
    の言葉に、
    「はやくひゃく・・・」「はやく」
    動揺してゆれている。
    おされたように、イケブクロの扉を開けた。

    いざ、イケブクロにくると、恐ろしいといえる気配がない。
    青白いたいまつが並べてあり、中は明るく感じた。
    「なんでぇ、たいしたことないんじゃないのか?」
    といってみるものの、後から入ってきた数人のマネカタはびくびくしている。
    マネカタたちはここのアクマたちに、マガツヒである魂を吸い取られていたらしい。
    それが、頭に浮かんでくるのか、オレ様を盾にしながら後についてくる。
    「アクマは、いるが・・・・」
    襲ってくるアクマはない。
    ゆっくりと、周りを見渡しながら歩いて、扉を開けていく。
    左右に分かれる道。右奥にはアクマが部屋の前に倒れている。
    左に向いすぐ近くの角で右に曲がった。
    所々にいるアクマ。
    だが、どのアクマも倒れている。
    「みんな寝ているね。疲れちゃったのかな。」
    リリムの言う通りだと思う。
    また扉を通ると真っ直ぐにフトミミがいた。
    ?ここにも、赤い扉がある。と考えたが訊きもしない。
    「おい、どうした。」
    「・・・・ここのアクマたちはもうだめでしょう。」
    「?」
    「ニヒロ機構で・・・・いや、マガツヒを吸われて、体力も限界ですから・・・」
    「ニヒロ・・・なんとかってなんだ?」
    その話をしようと思ったら、安全だと感じたマネカタたちがフトミミに集まり始めて声をかけている。
    「ったく。」
    また後で聞きゃいいんだがな。



    イケブクロは広く、リリムと道に迷いそうになった。
    半分以上はリリムに引っ張られてだが。
    アイテムをどっさりと買ったマネカタたちは満足そうだ。

    アクマは襲ってはこない、このまま何もなければいいんだが・・・・・

    「ちょっと!あたしのアイテムだけど!!」
    「ぼ、ぼくらの」「ぼくが・・・今そこで」
    「ひどい!あたしのだもん!」

    マネカタとリリムの仲がよくないのは確かだな。

    ここが、地下鉄の駅だそうだ。
    イケブクロに入ったときの入り口をそのまま出た後、少し南に向かったところ。
    地下に行く道を進んでいく。その奥にあるのがイケブクロ坑道らしい。
    アサクサにもう直ぐ着くとかでマネカタたちは喜んでいる。
    フトミミが先頭で、暗い道を歩いていくのだが、その隣には、オレ様とリリムがいる。マネカタが持ってきた、たいまつを灯しながら歩いていく。
    「道のりはさほど遠くはないです。」と言われたこの洞窟だが・・・・やけに遠く感じるのは、暗いせいか?

    出てくるアクマにはいつも通りにする。
    ナカマになりそうになるとリリムが相手をにらみつけて追い払ってしまう。
    「アクマがこれをやる」
    「お、おお。」
    アクマがくれるアイテムもリリムが考えてしまい入れるが、かわいいアクマからのアイテムはたとえ役に立つ攻撃アイテムや回復アイテムでも直ぐに捨ててしまう。
    何かを言わなきゃいけねぇなと思うのだが。
    そんな中でマネカタが、不機嫌そうな感じでよってきた。
    「たいせつな・・・アイテム」「きちょうなあいてむ」
    自分のものにするらしく、マネカタたちは怒っているようだ。
    リリムに何かを言ったらしく、そのときの荒れようが凄まじかった。
    マネカタが集団でオレ様に押し寄せてきて、囲んでバタバタと怒るからだ。
    洞窟であるこの空間が壊れるんじゃねぇかと思うくらいの暴れ方。
    それを見ていたリリムはマネカタを追いかけ、魔法を唱えて応戦するが、何せ人数が上だ。
    「マネカタの癖にぃ~。」
    て、いいながら腕にしがみついて、泣きマネをしている。
    それを見たら何も言えねぇなぁ。
    マネカタから離れて事情を聞くと、やっぱしアイテムのことだった。
    「オレ様は、腹にたまるアイテムさえありゃ、いいんじゃねぇか?」と、言ってみるものの。むすっとした
    リリムは「う~」と唸ってこっちを見ている。
    ・・・・・そうか。
    「よし、オレ様はリリムの味方だからな、大丈夫だぞ。」
    にこにこしながら、リリムはそれっきりで、マネカタに怒ることもしなくなった。常に何のときでも、戦闘になっても、傍にいることが多くなった。
    きっと、マネカタに妬いていたのかも知れねぇな。

    この坑道から出るころにはみんな仲良くなっていた。
    日の光じゃねぇが、早く地上に戻りてぇと考えていた。

    「なぁ、目的地に着いたらオレ様は帰れるのか?」
    フトミミは未だに何も言わずにいた。
    「わからねぇってことだよな。」
    「はい。ざんねんながら。でも、アサクサにいけば、もしかすると。」
    「そうか、まぁ。気長に待つから。」
    「わかりました。」
    笑顔で答えているのであろうフトミミの表情は伺えなかったが安心感は伝わってきた。

    暗いイケブクロ坑道を抜けると、地下鉄のような場所。
    クラマエ駅と呼ばれる場所だ。

    光が差し伸べた。
    上空には光、そこには砂漠。

    ここが、アサクサか?
    砂漠の中にある街。これは古い建物だと言う、木の造りの建物がある。
    ここが、マネカタたちの故郷か。

    アサクサに着いたマネカタたちは方々に分散して、何やりらやりはじめている。
    アクマとの戦いでへとへとになりながら着いたが。宿もねぇ。飯も食えねぇ。
    肝心のフトミミはどこかへ行っちまうし。
    どうにでもなりやがれ!半分キレかかりながら入り口である大きな門の近くで腰を下ろした。上を見ると大きな赤いちょうちんぶら下がっている。こっから見える景色は砂漠。
    天井にはボルテクス界を支えるカグツチが今日は半分の輝きで辺りを照らしている。
    ここにも、青白い光があり、かつては栄えたところだと言っていた。
    あそこのようなことになっているんだなこの世界は。
    再認識しながらも今は、腹がなるのを苦笑した。
    「なにやってんだかなぁ」ため息とともに呟いていた。

    しばらく寝ていたのか、羽音で目を覚ますとリリムがよってきた。
    「おじさま、ご飯はたべるの?なに食べるの?マガツヒ?」
    「あ?ああ、マガツヒは今は勘弁な。吸われたら死んじまいそうだ。それよか、食いもんあんのか?腹にたまるやつ。」
    「うん、マネカタさんたちが何か見つけたみたい。インスタント、何とかって。」
    「お!この世界にもインスタント何とかなんてあんのか?」
    きっと、ラーメンだろうな。やっと、オレ様が知ってる名前が出てきやがった。

    リリムに案内されてマネカタのいるところまできた。
    「あ、たべれる、かな?」「これなら、だいじょうぶかな」「これもあるよ」
    どうやら、食べることのできるものを探してくれていたみたいだった。次から次へと持ってきている。カップラーメンやミネラルウォーターのようなもの、缶ものやら。これだけあれば今は大丈夫だ。
    「ありがとな、たすかるよ」と声をかけるとマネカタたちはうれしいのか、ふにょふにょと震えていた。
    さ、まずは、マネカタのガラクタが集めたと思う道具を使って。
    火をおこして湯を作る。ちょうどいいくらいになった温度をカップに注ぎしっかりふたを閉じ三分待つ。マネカタ用も作って・・・・と、その前に・・・・食べれるのか?
    缶詰あけて、並べてと。
    適当に三分たった位に、紙のふたを開けた。香ばしい匂いに我慢していた腹の虫が勢いよく鳴り響いた。お構いなしに、食べようとして気づく。
    「箸ねなぁ、どうすっか。」
    せっかく温かいのに、冷まして食べるのもつまらねぇ、オレ様が食べないからマネカタたちもどう食べていいのか分からないらしい。
    近くにあるのは、古びた机に椅子に・・・お!あるじゃねぇか代用できるのが。
    扇子。武器用ではないため広げても手のひらサイズ。
    綺麗な柄が描かれてはいたが気にせず、紙の部分をむしりとる。木の部分を残し適当に折と短く細いが箸が完成した。
    ここにいる人数分作ってわたすと使い方まで教えて、食べ始めた。
    食べれているのか?これ。

    食べ終わったあと、数日分の食事を確保した。



    【アサクサから・・・・】


    いつになったら帰れんのかなぁ?
    ここ(アサクサ)に来て何日目だろうか、今日の分の散策を済んで、いつもの門の下でくつろぎながら思った。今日の光は薄暗い。気持ちまで持って逝かれそうになる。
    こんなときは、何かあってほしいと思うと、遠くの方からパタパタと音が聞こえてきた。
    マネカタだ、この感じだと何か出たってわけじゃなさそうだが、焦りはあるみていだ。
    分析していると、マネカタが止まってこっちを見ている。
    「何か、あったのか?」
    「ひ、ひと、人間がいた、」
    「お、どこにいたんだよう?」
    体を乗り出し「こっち」だと言うほうについていく。

    「この、とびらの、むこうからこえ、した」「ここここここ」「こ、ここ、」
    興奮しているらしく数人が何を言ってるのか分からない。
    「おい、確認は?」
    その言葉も耳に届いてはいないようだ。確認もしてないのによく人間って分かるもんだな。いやもしかすると、アクマかもな。
    「お前ら、下がってろよ、本当かどうかわかんねぇかんな!」
    少し強い口調で言うと、マネカタたちは隠れる、いなくなるのを確認して扉を開ける。
    かなり重い、軋む鈍い音と錆びた扉を力で開ける。
    扉をぶっ飛ばしながら、落ち着く暇なく部屋の中を確認する。
    ひんやりとした空気。さっきぶっ飛ばした扉は壁に刺さっている。我ながら惚れ惚れする力だ。で、中央の大きな円筒のオブジェ。この模様、変な文字が書かれているが何語だ?
    ってか、ここ誰もいないように感じるが。気配もねぇよ。
    「おい、誰もいねぇじゃねぇか。」
    マネカタに状況説明するため部屋から出て、わざと大きな声で伝え、笑顔でも大丈夫だと伝える。そばに来いと手を振りながら部屋の中を見せて安心させてやりたかった。
    「観て観やがれ、何も居ぇだろ?ほらよう!」
    マネカタたちもふにょふにょしながらよってくる。このふにょふにょはこれは怖がりながらだなぁ。笑みがこぼれながら、部屋の扉跡に指を差しながら振り向いた。

    「ドルミナー!」
    「あ?・・・・うわぁ」
    不意打ちに魔法をかけられ、真っ白になりながらいっきに地面にぶっ倒れた。
    「おじさま」「どうしたのですか」「おい、誰か水だ、水。」
    お!天のこえかぁ?いよいよなんか出んのか?
    つ冷てぇ!
    何、何だ洪水かよぉ!オレ様が溺れてるぅ、やばい、やばいぜぇ



    「!!うあぁ!つめてぇじゃねぇか!!」
    身体中水浸し。本格的に溺れたとかか?しゃれにならねぇな。いや、見渡すが視線が安堵しているようにも見えるし。リリムは抱きついてくるは、マネカタは喜んでいるは、どうなってるんだ?ってこいつらだれだ?ニンゲン?
    「人間か?おめぇ?」
    「いいえ、私は幻魔クー・フーリンと申します。水をかけてしまい申し訳ありません。」
    姿はニンゲンだ、長髪で槍を持っているのが特徴で、礼儀は正しい。
    「オレ様どうなっていたわけ?」
    「このモノの魔法により、眠ってしまわれた。謝るんだ妖精ハイピクシー。」
    「ごめんなさい。てっきり、怖い人だと思って。」
    強面は認めるがよぅ。
    「ま、謝ってくれたんだ、気にしねぇよ。」
    「ありがとうございます。」
    「ああ、いいってことよ」とは、言ったものの・・・・目を覚まさないからって水かけるかね?魔法なら・・・と考えてみると。
    あ・・・。魔法より、水より、もっと効率よい目覚ましがあったのを思い出す。
    殴り飛ばす。
    それをやられなかっただけ良いとするか。
    「ところで、何で隠れていたんだ?」と聞くと。説明として小さなタワーみたいなものをどこかしらか取り出して見せた。不思議な顔をすると「やはり、このモノと関係のある人ではないようだ。」というと、それをまたどこかにしまい入れた。
    「ゆっくり、聴かせてくれねぇか?」
    身体が自然と乾いてくるのを感じながら、胡坐をかいて座る。マネカタもまねして座っていった。みんな興味津々だ。ヤツもゆっくり座りまわりをみながら一呼吸ついて話し始めた。
    「人修羅を探しているのです。」
    「ひとしゅら?」
    「はい。」
    人修羅とは、アクマの一人で強いらしい。
    マガタマというアクマになるモノを飲み込んでいるらしく、その力はモノによって異なるが今はステータス無効の平のマサカド(マサカドゥス)を飲み込んでいるらしい。
    その意味がわからねぇが、かなり強いことにはちがいねぇ。
    源氏シリーズの武器なら・・・・平家ってのは、最近知ったが。それは関係ねぇがよ。

    人修羅がコトワリを持ってカグツチに行く最中に、寄り道してアマラ深界に立ち寄り集めていたらしく最後の一個を見つけて、って。ここまでの話でなんか抜けてないか?

    カグツチって、あの空に浮かぶ光のことで、どうやっていくんだ?その、アマラ深界ってのは・・・・どんな世界なんだ?また違う別の世界なのか?
    おい、ここまで来てよう・・・。

    「よければ、一緒に行っていただきたい強そうだし。」
    どこへだよ。おかしいだろう。オレ様はアクマじゃねぇ。それに、フトミミだっていつの間にか来て
    「あなたの道が見えませんでした。どうしたらよいか。」ってなこと言ってるし。
    「じゃあ、着いて行けば、かえれるのか?」と聞けば、なにも返ってこない。リリムは心配してそばから離れない、腕に絡みつく腕に力が入った。

    「じゃあ、どうすりゃいいんだよう。・・・・考えても疲れる。しばらく一人になるわぁ。」
    立ち上がって背筋を伸ばし、いつものところになってしまった門に向かった。
    リリムはしっかりくっついている無理に離すのも面倒なのでそのままで歩いた。
    門のところで腰をつく。リリムは首に手を回しながら背中に抱きついている。
    「おじさま、淋しそう。」
    「あんな、大丈夫だぜ、思っているよかぴんぴんしてんだ。」
    言葉だけだよ。
    「心がね、ウソ言ってるぅ。分かるんだもん。」
    ばれてんのか、こりゃかくせねぇな。
    「じゃ、しばらくそのままでいてくれな。」
    こんな幼いコに心配かけさせるんじゃ、オレ様的に許せねぇな。
    じゃあ、決めるか。

    「アマラ何とかに行こうじゃねぇか。にんげんでもいけるんか?そこは?」
    という、ことにしてマネカタもリリムともここでおさらばだ。淋しがる顔はみたくねぇんだ。だから・・・・、
    「・・・・どうやって、ここから行くんだ?」
    あの、部屋に入って円筒の前にいく。ターミナルと言われ、瞬間に移動する機械だという。ヤツが触れるとそれが回転しだし赤い光が一瞬現れ、目の前にオレンジの壁が見える。迷路のような道が何処かへと導いてく。光が近づく出口が近いことが分かった。光のまぶしさに一瞬目を閉じる。

    「着きました。」
    ヤツの言葉で目をゆっくりと開ける、目の前には赤黒い世界が広がっていた。
    アマラ深界とは、ここは・・・いったいどんなところだと感じる。
    壁は脈打っている。
    赤い。
    アクマが強い。

    「弱音、吐きそうじゃねぇか。」
    「おじさま、大丈夫ですか?ディア!」
    いきなりの回復魔法。だが、何か威力落ちている・・・・気がするだけか?
    「がんばれそうだわぁ。」と声をかけるとうれしそうに「やったぁ!」と飛び上がっていた。

    「ところで、あれ使ってどこまでいくんだ?」
    「あれ」とはさっきのタワーみたいなもの。
    それがあると、地下の奥まで進めるのだという。
    あいかわらずのクー・フーリンのだんまりに、ため息が出そうになる。
    が、敏感なリリムが心配するので飲み込んだ。
    しばらく、悪魔が出ずに進んでいくと、ヤツが立ち止まる。

    「・・・・気配がする。」
    その方を向くと、巨大な翼のアクマ?が現れた。
    白い姿のその悪魔は天井まで届く高さだ。目を丸くしてると
    「契約の天使、大天使メタトロン・・・だ。」
    と、クー・フーリンは言う。人間のような面しているが、凶悪なのか?大天使ってのは平和の使者とかじゃない・・・わな、この世界は。
    でも、この大きさは半端じゃねぇ!戦いになれば倒せるのか?
    「どうすんだ?」
    だんまり、おい!何とか言え!

    「異形のものよ」

    おめぇには話してねぇよ。・・・・しかし、どうやって、回避するか。
    とにかく構えながら、目だけ動かし周りを見る。今更後退する気はねぇ、とすると、向こう側の入り口に駆け込む方法っと。

    「答えてやろう、異形なものよ。考えても無駄だ、逃げ道はない。」
    「人の心読むんじゃねぇ、ん、なことやってみなけりゃわかんねぇよ。」
    「異形なものよ、ひとつ、教えてやろう、帰る道はない。死を覚悟するがいい。」
    「!っんだと!それを信じるとでも思ってやがるのかよ!ふざけんじゃねぜぇ。」
    帰る道がねぇのは毎回のことだ。だが、それでも帰ることができてるんだ、ぜってぇ帰ってやる。今度こそ死ぬなんて・・・・・・・・・・・・?
    興奮しすぎて大事な事を思い出した。オレ様って死んでるんだわぁ。なさけねぇ。忘れてた。てことは。
    「やれるもんなら、やってみやがれ!ぶっ飛ばしてやるからよ!」
    拳を振りあげ睨み付けた。
    「遊んでやろう。」
    という言葉にカチンとしながら戦いが始まるのだが、はが立たない。
    ヤツの攻撃もハイピクシーの攻撃も攻撃が効かないのだ。万能属性魔法が次々に襲ってくる。回復が間に合わない。ズタズタにされていく。次にきたら、アウトだ。
    魔力が底を尽いてぐったりとしているリリムを片手に抱きしめ後ろに一歩下がる。
    クー・フーリンたちは動くことがない。
    死んではいないと思う、が、だからといって助かるかどうかもわからない。
    そんな思いを察して、メタトロンは歩み寄ってきた。一歩一歩と。
    やばい、やられる。
    弱気になってはいけないと思いつつもこの状態じゃいつおっ死んじまうかわからねぇ、
    一度覚悟を決めつつも、この状態は回避してぇ。メタトロンは口元をあげる、不気味だ。

    「選択を増やそう。」
    「選択、だと。」
    「魔法をひとつだけ、教えよう。三つから選ぶがいい。」
    「!?なに考えてやがる!」
    「一つ、トラフーリ・二つ、ディア・三つ、リカームドラ。時間は三分だ。」
    一つは分かるディアは単体の回復系だ。問題はトラフーリとリカームドラだ。
    どんな魔法かわからねぇ、聞いたこともねぇんだからな。ディアを使えばリリムは助かる。しかし、後の二人はどうだ、ディアだけで復活するのか。もっと、上の魔法じゃないと回復しねぇはずだ。後の二つは、回復系なのか?補助系なのか?攻撃系なのか・・・・攻撃系はないだろう。自分は助かりてぇだろうし。
    トラフーリってなんだろうな。一番最初に出てきてるから、とんずらか?いや、これも回復系の一種か?じゃあ、リカームドラはどうだ。百歩譲って全部回復系だとして、どんな効力があるのかわからねぇ。これにしたとして、へまやらやらかして自爆的でゲームオーバーなら勘弁だよな。
    みんなを助けるのに何がいいのか。
    ・・・・今のこいつに、マガツヒは分けれるのか?考えるんじゃだめだ。こいつら、生きてるか確認だ。動いちゃいけねぇ規則ってねぇし、ちょうどいい。

    ゆっくりと抱き起こしながら、クー・フーリンとハイピクシーを回収していく。オレ様の傍に寝かしつけた。まだ、時間はあるのか。

    「今何分だよ?」
    その呼びかけに閉じられている目が開く。
    「あと、一分だ。」
    この会話も含めると、四十五秒って所か。時間が許す限り三体のアクマの傍に寄り添っていた。
    「時間だ。答えを聞こうか。」
    「その前に、せめて魔法の効力くらいは教えてほしっかた。こっちは考えるのに無駄な時間を使ったんだ。おかげで、残りが三十秒あったかないかだぜ!?」
    「心を読んでいれば、わかるはずだろ?」と付け加えて、首を鳴らした。
    さぁ、どうする?わからないままに、しておくのか。不公平だよなぁ?

    「罪深き異形のものよ、何があろうとも叶わぬことだ。」
    「罪ねぇ・・・・異形。オレ様はこの世界まだ良くわかんねぇんだぞ。魔法だって、意味がわかってからの選択スタートだろうが。これじゃ、白紙撤回、契約無効だぜぇ。」
    「契約か。」
    考えているように見えたが目を閉じている。
    「神は、愚者も平等を与える。」
    神・・・・いるなら助けてくれるんかよ。
    「トラフーリは戦闘離脱。ディア系は体力回復。リカームドラは、ナカマの全体の体力全回復。です。再び同じ時間を与えよう、考えなさい。そして、人修羅とは違う異形なものよ。コトワリもなくここまで来たことは、大いなる神も驚きのこと。さあ、考え答えよ。どれが望みか。」

    回復系が二つ。戦闘離脱。何か読みがあたってる、さすがオレ様。
    さて、どれを選ぶか。
    契約の天使メタトロン、世界を維持する役割を持つってヤツが小声で言ってたな。思い出したけどよ。
    維持。異形なるもの。世界を守るため。
    リカームドラしかねぇか。みんな助かるのは。
    しかしだ、簡単すぎる。もし、あいつなら・・・「からかいませんよ?」と言いながらも、「危なくないものですから」にこやかに言い、けむり玉とボムの欠片と普通の石を差し出しながら「どっち使いますか?」と言った後、実は、死なない程度の爆発ととんずらの効力という単純普通じゃ、楽しまねぇから
    細工をするはず。
    て、ことは回復系が二つある時点で怪しむべきだ。
    となると、リカームドラか?
    選択の余地ねぇってことか?
    ここまで着といてトラフーリにするか、いや、オレ様帰るためにここまで来たのに引き下がれるかってんだ!でもよぅ、ナカマのために命使っても悪い気はしねぇんだよ。
    あんときだって、帰れねぇからって自棄(やけ)起こしていたわけじゃねぇし、
    一肌脱いだわけだし。いや、仲間のためにだ。

    オレ様は祈り子で、罪を犯した。
    何とでもなる。
    無限の可能性だ!




    「時間だ、 答えを聞こう。」





    決まっている。こうだ。
    「帰る。」
    「そうか。」
    「ただし、今聞いた。リカームドラってのは、自我犠牲の技なんだな。騙したんか?」
    無言。
    「なんとかいぇや!」



    考えていたときに、クー・フーリンが呟いたのが、二分前だった。
    小声で「どういうことだ」と問い詰めると。まだ立てない状態でゆっくりと話し出した。
    リカームドラとは自分の命を犠牲にして仲間全体を回復する魔法だと。
    この、くそ天使。この分だと、もうひと癖ありそうだ。
    と考えながら三人の回復を確認しつつ。次の作戦を練る。さて、どうするか。


    「黙ってねぇで、説明しろや。」
    さっきの作戦を考えつつ、メタトロンに催促するが、まだ、黙ってやがる。
    いい加減、疲れてくるわぁこの空気。もしかして、それが狙いか?

    しばらく、沈黙が続いた後。クー・フーリンが起き上がる。
    「大丈夫かよ。」
    「大丈夫ですかと、逆に返したいですね。」
    「あ?オレ様はいたって元気だ。なぁこいつ」
    「交信しているみたいですね、何かと。今なら気づかれずに向こうに行けますが。どうしますか?」
    「何んか、わかんねぇが。チャンスだな。行くか!」
    両腕に花を抱いて、全速力で向こうの出口に走り出す。
    見事に、たどりついてその場をしのいだが。
    急に黙り込んでいるあの天使、何がどうしているのやら。
    「いってぇ、どうなっていやがるんだ?追ってもこねぇぜ」
    安全そうなところで二人を降ろし。腰をつく。ヤツも腰を下ろした。
    「たぶん、混乱していたのではないでしょうか。元々そんなに語らない世界ですから。」
    疑問だ。
    「は?意味がわからねぇんだが。どうゆうことだ?」
    「質問が容量を超えていたのではないかと。」
    「どこぞのハードディスクじゃねぇんだ、んなことあるかよ。それともあれは、街頭テレビか?立体映像が出てる。」
    自分で言って。んなことねえよな、と心に突っ込む。
    「たぶん、そのようなものでしょう。過去の科学を使ったまやかしだと思われます。」
    「へぇー。で、規定の容量以上のことを言われ、処理が追いつかなくなったってわけかよ。」
    「はい、それになんですが、人修羅は今までそんなに話をしない方だったので、簡単な状態で送ってきたのではないでしょうか。」
    笑えねぇ冗談だが、飽きれて次の言葉が出てこねぇ。
    「身体は大丈夫なのですか?」
    「心配性だな?大丈夫に決まってんだろう。何か心配かよぅ?」
    「三体にマガツヒを与えたのですから、それなりの代償を負っているのでは無いのでしょうか?魂を我々は吸っているのですよ。」
    「そのことなら、気にもしてねぇ。あれじゃねぇか?レベルが上がって体力が多いんじゃねぇのか?有り余っている感じはまだあるぜぇ。」
    「そうですか?なら安心です。」
    体力にはまだまだ余裕がある。そうでなければ、スポーツ選手なんてやってられるかってな。

    「ここ、から、この扉の向こうに、地下に行く場所があるのですが。」
    ゆっくりとヤツが近づくと扉が開き、目の前には浮遊する乗り物みたいなのが漂っている。
    ヤツの言葉に、回復したリリムが抱きついてくる。震えているようだ。
    「なんだよ。」
    言いにくそうにしている。かったりぃ。面倒なのはもう勘弁してほしいやぁ。
    「何があってもだ、帰る。帰ってやる。だから、行くぜ。」
    ゆっくりと歩き出す。
    「わかりました、これだけは信じてください。」
    「?」
    「何があっても、あなたに尽くします。人修羅の代わりではありませんから。」
    「!そんなこと、気にしてたのか?心にも思ってねぇよそんなこと。」
    気にして戦っていたのか?みんな、すまねぇな。
    「でもよ、オレ様は、利用していた。帰るために。」
    本音だ。
    「知ってるよ、おじさまの気持ち。だから、リリムついてきたんだよ。だから、ずっと一緒だからね。」
    「おう、わかった。一緒に帰ろう。オレ様の世界は楽しいぜぇ。」
    なんか、寂しいことを言いやがる。いやな空気だ。

    その後、はっきり言えば三歩行った時。
    揺れて、はっきりわからねぇが、めまいじゃねぇ。
    地震でもねぇ。
    なんかが、ゆれて消えてヤツらの声が恐怖の声になってて、振り返ることもできねぇまま、

    生きとし生ける者はみな
    いずれ死すが世の定め
    運命というみえない糸に操られ
    人は悲しく死に逝きます
    あなたはそれをどう思いますか?

    「・・・・・・」

    己の大切な人を
    事故や事件といった
    ぐうぜんで亡くしたとしたら・・・・・
    あなたは神を恨みませんか?

    「・・・」

    ただ運命の理不屈さを感じるなら



    あの方に会いに行きなさい
    そう・・・・そのとき、

    止まった時が
    動き出すのです



    動き出す時間があるのか?頭の中がこんがらがるだろうが!
    一瞬、地震のように感じたものがおさまったと思うと、目の前に光る丸い球体が浮かんでいた。
    「おい、これがカグツチなのか?」
    ヤツもリリムもいねぇ・・・。
    これがカグツチ・・・・何も持たないコトワリのものがくれば・・・・・どう出る?

    ・・・・・おお、
    おまえが此処にたどり着こうとは・・・・・

    「!」

    何故におまえが選ばれたるか・・・・・
    定めに適わぬ心持つおまえ・・・・
    名も無いコトワリのおまえが・・・・
    おまえが心に望みたるは・・・

    「なにもねぇよ!ここではな。だが、何もねぇわけじゃない!」
    ここまで着たまでに、帰りたい思いもあったが、あいつらや、フトミミたちが無事であってほしい世界であれば・・・・

    残される者がどれほど悔やんで戦いに望んだか・・・・
    死を迎え死人としても・・・・
    託されたモノを果たした・・・

    その意に背き、この世界に迷い込んだか
    過ちを犯し、世界を混乱させ、破滅を呼ぶ・・・・
    おまえは災いの種。
    それがもたらすは滅びのみ。
    我は許さぬ!
    滅びのための世界など!
    我が力を与えるは
    コトワリ定かなる、完全なる創世のみぞ!
    時を彷徨うものよ、何人とも入らぬこの世界より
    消えよ!異形なるモノ
    我が怒りの光にて、その存在を終えよ!
    それは、戦いなんてものじゃねぇ。
    声が消えたのと同時に今まであった出来事が思い浮かんできた。
    今までの記憶がよみがえってきて。
    それが、頭上にはっきり映像になって見える。
    シャボン玉のように浮かんでは消えていった。

    どんな状態なのか、生きているのか?死んでいるのか?体の感覚も何もかもが記憶から消えていくようで。
    目の前のカグツチが、誰かに似ているような顔で笑っている。
    それすら、思いだせぇえ。





    記憶も


    世界も・・・・







    自分自身も。
    「オレ様は・・・・誰なのか・・・・わからねぇ。」
    今日という日を憎んだわけではない。
    そして、今日という日を幸福にも思うことはない。
    自分の身体が引き裂かれような感覚はあのときの感覚に似ている。
    痛い痛い、じゃない。苦しいとも違う。

    「今日という日を憎んだわけではない。そして、今日という日を幸福にも思うことはない。」
    言葉にしてもはっきりしない。
    ここはどこで自分は誰で今何をしているのかもわからない。
    マグネタイトって・・・人から魂を奪う。何かと似ている?何だ・・・・?

    でかいガラス管の中に、ゆらゆらと漂うようなそんな気配がした。
    それだって、自分なのかわからないくらい穏やかでいる。


    目の前にいる、知っているであろう男に、

    戦いの中で、




    戦い。

    戦かえ!戦え!!
    そう叫んでいる。
    ヴァルハラ・・・・
    金剛世界
    ・・・・新たなる転生の世界。

    異界同様のこの世界・・・・




    この世界。
    いったいなんだ?


    何一つ元に戻らない世界。

    「このまま、人間としていきますか?」

    誰かが言う。
    俺は人間だ。

    人間?いや、罪だ。

    神ではなく悪魔なのか?

    身体が人間じゃなくなる瞬間も、あいつの悲しい目も。今は忘れてしまう。


    解けて無くなる。
    消えてしまう。

    アクマは徘徊する。
    オレを見つけて力を奪う。

    LOW(コスモス)だのCHAOS(カオス)だのなんだよ。

    助けてくれとは言わないが。元の世界に還してくれ。



    朝の砂漠は寒い。
    気温が下がっている。
    毛に覆われていた身体は人が見つけるころには普通の人間の身体に戻っている。
    でもここは、
    砂漠。


    ここは・・・スピラなのか。





    「・・・カ。すまねぇ。」



    【トウキョウ】

    未だに砂漠。
    何一つ変わりない。

    コトワリを持たないものが現れ、この世界を安定化した結果、アクマが徘徊し人は存在しない。

    あらゆる世界のアクマと、どこからか出現した魔物がこの砂漠に現れた。


    そして秩序は乱れる。





    世界が変わっていくのは


    また別の話
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