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    しおぬる

    @ShiowoNuru

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    しおぬる

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    一家に一台マカベカズキのやつの切れ端たち
    ツイートもまとめて備忘に……https://twitter.com/shiowonuru/status/1636964858657935361?s=46&t=HvToHZ2zuv7UO0LUU1RwLQ

    ##文字

     『マカベカズキ』とは、全日本家事うま永世グランプリに輝いたとある青年の家事中の思考・動作をモデルに作成されたAIのみを指す。よってマカベカズキを搭載したアンドロイドはその青年の姿までを模しているわけではなく、関連倫理問題に触れないよう容姿やコミュニケーション用の人格はランダムに設計されている。

    「マカベカズキ搭載アンドロイド、全世帯に配布、か……」

     家事が楽になる! 充電は直立でできるから寝かせるスペースはなくていい! 人間一人分の食費の代わりにわずかに電気代が増えるだけ! イケメンや美女のアンドロイドが来たらいいな! ……などとどの家庭も暢気にわいわいしているなか、しがない一人暮らし大学院生の皆城総士は大きなため息をついた。
     いっそ実家へ送ってしまいたい。いや、一人暮らしだからこそ、施行された国民みな元気元気法のもと必ずアンドロイドの世話になり毎日健康データをとられ、不健康な生活を正されなければならない。『マカベカズキ』によって。
    「どうして一騎なんだ……どうして一騎が永世グランプリになんてなってしまったんだ……」
     真壁一騎。彼は総士の幼なじみだった。ある日彼はいい経験になる(そのうえ本人の所属する店にも協力金が入るから)とバイト先の店主に唆され、ふざけた大会に出場した。あまり勝負心などないタイプだと思っていたのだが、彼は昔体育の授業の100m走で日本新記録を出した時と比べ物にならないやる気を見せ、全国の家事自慢を薙ぎ倒し頂点に君臨すること数回。彼の実力は国にも認められ、AIのモデルとなるに至ったのだった。

     あのとき一騎を止めていれば、一騎は全国民のものになんてならなかったのに。
     ――いや、一騎はもう僕のものなどではないのだから、感傷に浸る資格はない。マカベカズキは真壁一騎ではない。すべて忘れて、割り切って、受け入れよう。そう思っていた。



    ==========



    ぴーんぽーん
    「すまないカズキ、手が離せないから出てくれるか」
    「わかった」
    ガチャ
    「「……」」
    「「お、おれ!???」」
    「!?!?!?!???」ドンガラガッシャン

     カズキの声が二重に聞こえる。バグだろうか。なんならカズキが二人いるように見える。僕の乱視が進んだのだろうか。
     

    ==========


    「どういうことなんだそうし」
    「…………配布アンドロイドは容姿がランダムに設計されるだろう、たまたまお前の容姿データを多く使用したものが来てしまったんだ、たまたま…僕だって気まずい思いで日々パンツを干させているんだ」
    「…お前、名前は」
    「マカベカズキ」
    「んがっ」
    「アウトじゃん」

    「こ、これは……そうだ、名前もデフォルトでランダムに設定されていたものがよりによってあろうことかマカベカズキだったから流石にと思い変更しようとしたんだが操作を誤ってそのままで起動してしまって…」
    「お前カズキかその他かで迷いすぎて何回もリセットかけてきたよな」
    「工学畑だからって無茶したなお前」

    そ〜しは工学の道に進んでいて知識があったのでそれはもうアンドロイドの内側にも外側にもめちゃくちゃに手を入れて理想を追求していたのだった たまに言うこと聞かないところまでかずきにそっくりだ


    ==========


    「……総士のこと、世界で一番幸せにしてやりたくて。俺が周りよりちょっとだけうまくできることって料理とか洗濯とか掃除程度だけど、それを極めたらおまえのそばに置いてもらえるんじゃないかって思ってた」
    「僕は身の回りの世話をさせるためにおまえを好きになったわけじゃない!」
    「……だけど、おれ、ほんとに他に何もできないから……総士みたいに頭よくもないし」
    「なあ」
    「……なんだ」
    「総士って、今総士のそばで世話してる俺がいても、ずっと一騎のことが好きなんだろ」
    「……」
    「だから……そういうことじゃないのか。わかるよな、真壁一騎」
    「え……」
    「総士、おまえもちゃんと自分の気持ち説明してやれ。人間はアンドロイドほど認知を超えた広範な演算ができないんだから――あ、鈍感だからって意味だ」
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