Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    Tolege

    @tolege_do
    大体開けっぴろげに出せないもの、多数枚ものをいれる

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 62

    Tolege

    ☆quiet follow

    現パロ納探
    (https://twitter.com/tolege_niji/status/1331654048198520832?s=21)
    の後日談で練習作。
    甘やかすって言ってもさほど甘やかしてない。
    ぺが帰宅した後から始まる。
    ***************

    ##のーたん

    「…なにか?」

    イソップの問いかけで、無意識に見つめていたことを自覚して耳が熱くなる。

    「ぁ、いや…知らないベストだなって」

    今朝も同じ格好を見たはずだが、寝ぼけていたせいか記憶にない。
    しかしそれ以前の記憶を辿っても見た覚えがない。
    脱いだジャケットを片手に、イソップはひとつ瞬きをした。

    「今日初めて着ました」
    「あぁ、」

    道理で見たことないわけだ。
    イソップからジャケットを受け取り、クローゼットへ掛けに行く。
    軽く形を整えて仕舞い、戸を閉めると、手をそっと絡め取られる。ちゃんと洗ってきたのか、その手は少し湿ってて、ひんやりとしている。
    でも珍しい、今日はまだベストを着たままだ。

    「…、似合いますか」
    「うん、すっごく」

    ダークグレーのベストは、引き締まった彼の身体を美しく魅せている。
    僕が手を握り返すと、応えるように抱きしめられる。そういえば、帰ってきたら甘やかすって話だったな。
    背中に回した手のひらが、滑らかな生地に触れる。
    抱きしめても布が弛まない。ちゃんと、彼に合わせて仕立てられたものだと分かる。

    「…かっこいい」
    「そうですか」
    「ね、背中も見せて」

    後ろへ回り込もうとすると、イソップは背を向けてくれた。
    やっぱり、前面とは違う生地が使われている。
    上品な琥珀色だ。

    「…綺麗な柄だね」

    光を反射する模様を指でなぞる。
    彼にしては派手なデザインに思える。

    「貴方の提案を参考にしました」

    思わず首傾げた。

    「いつの?」
    「柄物も着てみたらどうかと言っていた、」

    そういえばそんな話をしたような。
    仕事着も私服も、あまりに無地やモノトーンばかりで、彼のクローゼットを見ながらそう言ったんだったか。
    これまで、柄物や鮮やかな色を纏っている彼を、たぶん、一度も見たことがなかったから。

    …だから、なんだか新鮮でどきどきしてくる。

    「…やはり、似合いませんでしたか」

    自信なさげな彼の声に、思わず笑みが溢れてしまう。不思議そうな顔をする彼に首を振って見せる。
    …ふふ、似合ってないなんて。

    「見惚れちゃうくらい、似合ってる」

    そんなわけないのに。

    目元が緩んだ彼の唇を食む。
    頑張って帰ってきた君を、めいっぱい、甘やかさなきゃ。
    頬を撫で、耳を擽り、首や背を撫でる。強張っていた唇が、キスを重ねるごとに柔らかくなっていく。舐められた唇を薄く開け、彼の舌を迎え入れる。
    薄らと目を開けて彼を見ると、その視線はしっかりこちらを捉えている。
    目を閉じないのは相変わらずだ。
    心の中で微笑んだのも一瞬のこと、銀色とも紛う鋭い瞳に背中がふるりと震える。
    声が少し漏れてしまった、恥ずかしい。

    「ん、はぁ…ふふ、満足した?」

    漸く解放され、息を整えていると、口の端を伝った唾液を丁寧に舐め取られる。
    まだまだ足りないらしい。そうこなくては。

    「身支度をさせてください」

    身支度にはシャワーだけでなく食事も含まれているようで、僕の手を握って、足はキッチンへ向かっている。
    その背中を見て、ふと、引き出しのブローチを思い出す。

    イソップが誕生日にくれた琥珀のブローチ。

    こんな大男にブローチなんて、とも思ったけど、彼が自分のために選んで贈ってくれたことが何より嬉しくて、大事に大事に仕舞い込んでいる。
    たまに取り出して、眺めてニヤついていることは、彼には内緒。

    皿を出しながら、作りおいていた料理を黙々と眺めるイソップに声をかける。

    「用意しておくから、先にシャワー浴びておいでよ」
    「…では、お言葉に甘えて」

    そういって彼は足早にバスルームへ向かう。
    この献立で正解だったみたいだ。
    お腹空いているようだったし、少し多めに注いであげよう。
    上がってしまう口角を抑えながら、料理を火にかけ直す。

    時々、彼の年下らしい一面を見つけてはくすぐったい気持ちになる。
    はしゃいだり、不安がったり、甘えたになったり。顔には出ないけど、最近少しずつ分かってきた。

    ポーカーフェイスで感情豊かな愛しい彼を、当分手放すことはできないだろうな。


    なんて考えていると、バスルームからイソップの呼ぶ声が聞こえる。バスタオルの予備が無いことを思い出した僕は、慌ててイソップにタオルを持って行くのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏🙏🙏💞💘☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    Tolege

    CAN’T MAKE現パロ※ENN組(㌧しか出てこない)

    ㌧が1人でおつまみ作るだけの小話。
    ##えん
    *****
    朝起きたら2人とも居なかった。
    そういえば今日は遅くまで帰ってこないって言ってた気がする。
    僕?僕はオフ。とはいっても、やりたい事ないし、やることは洗濯くらいかな。3人で暮らしてたらあっという間に洗濯物は溜まる。
    それにしても暇。ぐるんぐるん回ってる洗濯物眺めるくらいには。あー昨日はあのパンツ履いてたのかな、なんてクソつまんないこと考えるくらいには。
    最後に3人で出かけたのはいつだったろ。そろそろ3人でどっか行きたいって話してたのもだいぶ前な気がする。ナワーブさんはふっつーに出勤日だし、イライさんなんか、今日は休みだったはずなのに急に仕事が入ったとかなんとか言って…2人とも早々に寝て出て行ったし。
    …なんか面白くない。

    晴天。これなら洗濯もすぐ乾きそう。
    「天気が良い日」って、出掛ける派と寝る派に分かれるよね。
    僕はどちらでも無いけど。
    洗濯干してたらやっとお腹すいてきた。昨日、漬け置きを作った時に1人用も作ったから、それを開けよう。
    冷蔵庫の中は、他2人もこまめに買い物して補充してくれるから結構潤ってる。2人ともよく食べるからすぐ無くなるんだよね。
    保存パックのひとつを掴んだところ 1181