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    Tolege

    @tolege_do
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    Tolege

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    ㌧の悪夢

    親密度が上がってきた頃の話。
    現パロだけど、違うのが少し混じってる。

    *****

    ##えん

    深夜のリビング。
    しん、と静まりかえっている空間で、ボストンバッグを下ろす。
    荷物もまとめてしまったし、あとは出るだけ。
    寝室のドアを少し開け、覗き見る。
    2人分の寝息に、そっと息を吐く。


    ……長く、居すぎてしまったな。





    「依存されるのはダメなのに、自分が依存するのは良いんだ?」

    背後からの声に、思わず勢いよくドアを閉めた……が、強く閉めたドアから音はしない。
    寝室の気配を探るが、起きた様子もない。

    振り向いた先に、黒い影。


    「離れていくよ、アイツらだって、縛るだけ縛って、僕を置いていくよ」


    心臓がうるさい


    「なに、平気だろ、依存してないなら」


    あぁ、近寄ってくるな


    「そうだ!いっそ捕まえてやろうよ」




    ……は、



    足を掴まれる。


    タールのような黒い手が、音もなく僕の足や腕に絡みついた。

    瞬間。

    水面を大きく叩きつけた音と、
    気泡で満ちる視界。

    ごぼり、と口から溢れた息は黒く濁っていた。

    澄んだ水面が遠のき、底無しの深淵へ引きずり込まれて行く。

    "ヤツ"が僕の顔を覗き込んだ。
    気持ちの悪い、笑みだ。



    「「 手伝ってやるよ 」」




    「「 捕まえて、埋めてしまおう 」」




    「「 全部燃やしてしまって 」」




    「「 そうしたら、 
             僕の





























    「ッはァ"…ッ!」

    跳ねるように体を起こし、大きく吸った息で咽せ込んだ。


    「どうした」

    ノートンの異変に気づき、目を覚ましたナワーブが、汗で湿った背中をさする。

    「どうしたの」

    ドアが開き、イライが顔を出す。
    隣室から差し込む明かりで、朧げだった現実が戻ってくる。

    息を整えながら、ノートンは滲んだ視界でイライを見た。

    「…うん、いるよ」

    イライは彼の隣に座り、握り締められた手を優しく握った。
    僅かに沈み込んだスプリングの感触は、ノートンを落ち着かせるのに十分だった。

    「良くない夢でも見たのか」

    大事で、大事にしたくない顔が、左右から心配そうに見つめてくる。


    「……はぁ、…すみません、何でもないです」

    悪夢を、安心感ごと、自分の奥底へ仕舞い込んだ。
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