あってたまるかそんなこと眼前に伸びてきた白く真っ直ぐな指先はどこか花の茎を連想させ、植物を相手にする静かな時間を想うと心が凪いで落ち着くのだった。
例えその指が猛毒を塗られた刃を握り込んでいたとしても。
眼球の僅か先でピタリと止まった刃を、無言で見つめる。
逃げないんですか、と訊かれ何故、と問うとぶわりと殺気が膨らんだ。
勢い任せに短剣が耳元に突き立てられ、数本の髪と枕から飛び出た羽毛が静かに散る。
どうやらまた言葉を選び間違えたようだ。
目尻に落ちた羽を瞬きして払い除け、正面に陣取る男を見上げる。
「カトル」
相手の瞳孔が開いているのが逆光でも分かる。深く息を吐き出した男は返事もせずにギロリと睨み付けてきた。
「舐めやがって……」
地の底を這うような低い声。そうじゃない、と喉元まで出掛かった言葉は、また神経を逆撫でしそうで、口から出る寸前で呑み下す。
黙って見つめ返すと、数拍置いて伸し掛かられていた重みがふっと消える。
胴体を起こしたカトルは、目元を手で覆うと大きく息を吸った。青白い肌の下で肺が膨らむ。
胸が膨らみ、平らに戻り、また膨らんで、戻る。
見るとも無く眺めていると、指の隙間からまた睨まれた。
機嫌が悪いな、と察する。最も、自分と居る時にカトルの機嫌が良かった試しなど殆どないのだが。
笑わない訳ではない、喜ばない訳ではない。
自分といる時にはそうではないだけで。
見るな、と言外に発する意を感じ取って自分の指先に目を逸らす。
カトルの細くしなやかなそれと違い、皮も爪も厚く何度も傷痕を残しては修復してきた己が指。
鉤爪越しの打撃と衝撃を幾度と無く受け続けた指先は固く潰れ、角張った形に固定されている。
日常に支障は無いのでさして気に掛けて来なかったが、手入れの行き届いた指先を眺めた直後だと余計にその歪さが目についた。
傷付けるためだけの指だ、と自嘲する。
皮膚を切り裂き、臟を抉り、絶命に至らしめるだけの。
「あなたが」
耳に届いた呼びかけに顔を上げる。
カトルは平素より白い顔に口惜しさを滲ませてこちらを見据えていた。
「僕のことなんかねじ伏せられるのは知ってるし、分かってますよ。分かってるんです、そんなこと」
「……」
「だからって、殺されそうになっても何もしないってのは本当に頭にきますよ」
「殺す気など無かっただろう」
「いいえ」
きっぱりと否定される。
「今は本当に隙だらけに見えるから、殺せると思いました」
「俺とて四六時中気を張っている訳では無い、第一それでは保たん」
「僕の前でそんな隙を見せるのがそもそも舐めてるって話ですよ。バカにしてるんですか?」
「違う」
うまく伝えられない。何をこんなに立腹しているのかも分からない、先ほどまで静かに同じ部屋で過ごせていたのに。
「お前の前だから気を抜いたことに腹を立てているのか?」
「……は?」
「お前を下になど見ていない、むしろ何かあろうと平気だと思ったからなの、だが……」
耳が自然と下がるのが分かる。
やはり甘えすぎていたのだろうか。武人として情けないと、呆れられたか。
胸に重いものが蟠る。
再び己が指先に目を落とす。いくつもの命を奪い、怨嗟を浴び、血に汚れた身で穏やかな刻を得ようと言うのも烏滸がましい話か。
黙り込んだカトルを置いて部屋を出ようとすると、「ちょっと待ってくださいよ」と呼び止められる。
「なんだ」
「あなた今なんて言いました?」
「? お前を下になど……」
「その前です」
「その前……」
少し考え込み、何を口に出したか思い出す。
「お前の前だから気を抜いた、と」
「聞き間違いじゃなかった……」
重々しく低い声でそう吐き出され、ぎゅっと拳を握る。
やはり迷惑だったか、俺などに寄り掛かられて困らせたことだろう。
「すまなかった、もうしない」
「いえそれは困ります」
間髪入れず返ってきた言葉に困惑する。何故それだと困るのか。
「何故……?」
「気を抜かなくなったら殺せないじゃないですか」
さも当然、とばかりにそう言われて目を瞬かせる。
そうか、そう言えばそんな話だった。しかしこれは何と返せばいいのか。
迷った末に、応援することにした。
「うまくいくといいな」
「何で他人事なんだよ殺すぞ」
羽根が零れ出る枕が投げ付けられて顔面で受け止めた。
「うまくいくといいな」
あと少し。もうすぐ。
もうすぐで終わる。
本能的な咄嗟の反撃に次いで炎を纏った敵影が掻き消えると、カトルは知らず詰めていた息を大きく吐き出す。
クリスタリアの少女が軽い足取りで跳ねるのも、大柄な水神が空中から降りてくるのもどこか薄皮一枚隔てた向こうの出来事に感じられた。
薄らと、感覚が鈍感になっている。さっきの反撃だって、どこかはっきりしない手応えを残すものだった。
刃を握ることに自覚的で無ければ。身体に染み付いた反撃で命を繋いでいるようではいけない。
だが、今日はそんな内省すらもどこか鈍麻したように深まらず、カトルは挙動を気取られない内に双剣を鞘に収めた。
今日はこれが最後のはずだ。味方の支援と回復に専念していた団長が労いの声を上げるのを聞きながら、カトルはその声ですらも頭に反響することを感じ、殊更に意識して穏やかな笑みを浮かべた。
疲れているのは自分だけでは無い。今日一日出ずっぱりだった団長はそれこそ疲労が顔に滲んでいて、それでも気丈に全員の状態を確かめていた。
「カトル、今日もありがとう。最後のトドメ助かったよ…怪我とかしてない?」
「甘く見ないでくださいよ、あれくらい余裕です」
いつも通り。努めて当然と言うようにつっけんどんな声を出すと、団長は眉尻を下げて笑った。
「流石だね」
そう、これくらい何てことは無い。けれど、
「早く帰りましょう」
「うん、僕もうヘトヘト~」
素直にそう言えるのを少しだけ、羨ましいとは思った。
廊下を進むと、まだ艇のあちこちからは人が集まっている賑やかな気配が感じ取れた。
食堂、大浴場、甲板、最近出来た酒場……
そのどれにも足を向けず、真っ直ぐに艇の奥へと進む。
個人の居室は、古い団員から手前の船室を使う習いになっているため、十天衆であるカトルの居室は比較的奥まった場所を宛てがわれていた。
早く横になりたい……と詰まった襟元を少しだけ弛めると頭に響く鈍痛が少しだけ遠のいた気がする。
努めて急ぎすぎず、普段通りの足取りを意識しながら居室へと続く角を曲がると、目に入ってきた人影に少しだけ眉間に皺が寄る。
灰色の髪は廊下の僅かな明かりを受けて暗く沈み、その下の黒い仮面が不気味に光る。
何でここに。
それまで誰かに会う可能性を考えて繕っていた表情が消え去ったが、この相手にそんな配慮をする必要も感じなかった。
「いたんですね、シスさん」
「あぁ、昨日の夜に来た」
「そうでしたか。団長さんなら食堂に行くと言ってましたよ」
「いや」
気を利かせたつもりで告げた言葉に首を振ると、シスは仮面で覆われた顔をカトルに向けた。
「お前に用があって待っていた」
「僕に? ……悪いんですけど明日にしてもらっても」
「すぐ終わる。これだ」
手合わせにしろ話にしろ今は相手をしてられない……と顰めた顔の先に簡素な茶色の紙袋を突き付けられる。
こちらの意向を無視されたことに腹から僅かに苛立ちが沸いてきたが、口を挟むのも億劫だったので無言で受け取り中を検める。
無色透明のガラス瓶がひとつ、中に入った液体を揺らしながら鈍い光を反射していた。
一見して香水のようにも見えるが、コイツがそんなものを渡してくる理由がある筈も無い。
「何ですかこれ。毒?」
「違う」
適当に叩いた悪口にも大真面目な声色が返ってきて、何となく面白くない気分だった。
何でもいいから早く寝たい。この短い会話の間でもまた鈍痛がぶり返しそうになっていた。
紙袋から掌に瓶を転がすと、シスが仮面越しにちらりとそちらを見やった気がした。
「鎮痛作用と寝付きを良くする薬だ、俺が調合した」
「は?」
「無味無臭でそのまま飲めばいい。おそらく二三口で充分だろう」
「何で僕にそんなもの……」
「何故だと?」
微かに首が傾げられた。
「僅かに発熱しているだろう。解熱剤もいるか?」
「は、」
カトルは立ち尽くしたまま呆気に取られた。
確かに少しだけ、本当に少しだけ身体と頭がぼんやり熱かった。
だが、何故この男がそれを知っている。昨日乗艇したことすら知らなかった、親しくも無い相手が。
胡乱な目で見据えると、また首が傾げられる。何だその仕草は。
「……誰にも言ってないんですけどね」
「朝方、出立するところを見た。本調子では無いようだったのでな」
「気付きませんでしたよ」
「そんなに近くも無かった」
「あなたがそんなに僕のことを見ていたなんて、気付きませんでした」
わざとゆっくり、言い含めるように告げるとシスの耳が緊張したようにピンと張った。
と思うと、急に耳の先端が伏せられる。不安を感じている時の仕草だ。
「め、迷惑だったか」
「迷惑と言うか、困惑はしています」
「ならいい、俺が勝手にやったことだ」
「ちょっと」
掌がこちらに伸びてきたので、身体ごと避けるとムキになったように手が執拗に追ってきた。
「必要無いのなら、返せ」
「自分で渡しといて返せは無いでしょう。もう僕のモノですから」
「ぐ……」
言葉に詰まると、一拍置いて手が引っ込められた。
大人しくもたれかかっていた壁際に再び戻ったシスは、小瓶をしげしげと眺めるカトルにじとりと視線を向けた。
「……副作用を心配しているのか」
「いえ」
「なら何だ」
「これをあなたが調合したんだなぁ、と思って」
「そうだが」
憮然として腕を組み、何か言いたげにしているシス。いらないなら返せ、と言いたいんだろうなと思いながらもカトルは何も言わないでいた。
ネハンが何かしらの薬品を調合しているのはよく見るし、出自を同じくするこの男が同じことが出来ても不思議では無いが、どうにも繊細な薬品のイメージとシスの印象が自分の中で噛み合わず妙な感じがした。
やはりシスの、俊敏に駆け回っては鉤爪を振るい敵を切り裂く力強さがカトルにとっては強く印象付けられている。
その力も、その力を厭うことも、気に食わないが。
だがまぁ、気遣いはありがたくもらっておくとしよう。
そう結論付けて小瓶を仕舞おうとしたその手前でシスが再び手を伸ばしてきた。
返さないっつっただろ、と内心で舌打ちするも取り返すのも億劫でそのままにしていると、キュポ、と音を立てて蓋を開けたシスがそのまま中身を口に含んだ。
「は」
「……毒では無い、と言っただろう」
一口だけ飲み下したシスが渡してきた小瓶をどうしてか素直に受け取ってしまったカトルは、珍しく言葉を失った。
そもそもそれは本気で言った訳じゃない、とか、人に渡したものに口付けるか普通、とか色々言いたいことはあったが、無防備に自分に喉元を晒されたような気になってそのどれも言葉にはならなかった。
口元だけずらした仮面を再び装着すると、シスはカトルより少しだけ高い目線を屈めて覗き込んできた。
「どうした」
「……はぁあ」
顔を押さえて溜め息をつくと、乱暴な手付きで結い上げた髪をがしがしと乱し、ついでのように髪の留め具を外した。
そのまま片手で器用に髪の結び目を解きながら何かをシスに投げ渡す。
咄嗟に受け取ったシスが手の中を見ると、カトルの自室の鍵のようであった。
「開けてください、僕今手塞がってるんで」
「……む」
一瞬困惑したように見えたシスが、そう言われて素直に鍵を解錠した。
音も無くドアを開くと、隙間を縫うようにしてカトルがひらりと部屋に入る。
そのまま閉めようとした手首が急に掴まれてシスは瞠目した。
「何してるんですか、入ってきてくださいよ」
「……何故?」
「あなたも飲んだでしょう、この薬」
髪が半分ほど解けたカトルがちゃぽんと小瓶を揺らす。
「寝付きをよくする薬なんでしょう」
「そうだが」
「あなたもこの部屋で寝ればいいじゃないですか」
「なっ……」
思いも寄らぬ発言にシスは部屋の入口に立ち尽くした。
絶句するその姿に少し胸のすく気持ちになったカトルは、ようやく全て解けた髪を背中に垂らしながらくすりと笑った。
「嘘ですよ、取り敢えずそのドア閉めてもらえますか」
「あ、あぁ」
言われるままに扉を閉めるシスの姿にまた笑いそうになる。部屋を出ていくチャンスだったのに、おそらく気付いてもいないのだろう。
所在無さげに壁際に寄る姿を見るとも無しに見ながら、カトルは簡易な寝間着に着替える。
するすると衣擦れの音だけがする部屋で気まずげなシスが困惑する。
自室に帰りたい、と思っているんだろうなと推察したカトルは先程まで自分も全く同じことを考えていたことを思い出し、少しだけ笑う。
ベッドに腰掛けると、シスに手招きをして呼び寄せる。
一瞬躊躇ってから、大人しく近寄ってくるシスにおかしい気持ちになる。この人、こんなに素直だったかなと内心独りごちる。
そのまま横になると、マントの裾を引きシスをベッドの縁に座らせた。
訝しげな視線を感じながら、ごろりと丸くなり寝る姿勢に入る。手足を丸めた格好で無いと寝付けないのは昔からだ。
「僕が眠るまで」
「ん」
「眠るまで、いてください」
朝から感じていた気だるさが身体中に回っていて、やや幼い口調になってしまった気がする。
上手く回らない舌でそう言うと、少し置いてベッドが微かに撓んだ。
少しだけ目を開くと、遠慮がちにベッドの端に座っていたのが体重を移してきちんと座り直しただけのようだった。
とろりと眠気に沈む間際、シーツに散らばった髪にそっと触れられたのを感じた。不思議と、嫌悪は感じなかった。
本当に居てくれまい文句を言うつもりは無かったが、律儀にカトルが意識を手放すまでその気配は静かに側に居て、僅かに空気が震えたのを最後にカトルはゆっくりと深い眠りに落ちたのだった。
「おやすみ」
「シスさん」
声に棘が交じる。人波に混じりかけていたシスが珍しく緩慢に振り返った。
ぎくりと肩を揺らしでもすればまだ可愛げがあるものを。睨め付けるこちらをぼんやりと見てくる視線にも腹が立った。
「行きますよ」
「何処へ」
「診療所」
それを聞くなりまた踵を返そうとするのですかさず手首を掴んだ。俊敏さならこの男にも負ける気は無い。
「離せ、カトル」
「逃げようとするのは自覚があるからですか?」
「……」
途端に押し黙るのは分が悪いと踏んだからか。大分読めるようになってきた。
腕を引こうとすると無言で踏ん張って抵抗してくるので舌打ちが出た。
「シスさん?」
「……」
「あーそうですか、ネハンをここに引っ張ってくるのがご所望ですか」
「!?」
驚いたようにピンと跳ねる体が忌々しい。わざと自分を苛つかせようとしているのではと邪推する。
「ま、待て」
「イヤです」
「待って、くれ」
「言い方の問題じゃねえよこのボケ」
苛立ちのままに踵を突き立てるように足の甲を踏みつける。一瞬眉を寄せたシスは、しかし何でも無いようにすっくと背筋を伸ばした。
「このくらい、誰の手を煩わせるまでも無い」
「それは医者が決めることです」
「今までも平気だった、俺に構うな」
「?」
カチンときた。その独りよがりな言い方に。
しかし怒りを直にぶち撒けてもこの相手には仕方が無い。意識して深呼吸をして、頭を冷やす。
何と言えば分かるのか、この朴念仁は。
言葉の海を掻き回して、組み立てる。ひとつひとつ、伝える言葉を選び出す。
「……アンタは」
「む」
「いつまで一人で生きてるつもりなんです?」
そう投げ掛けると、虚を突かれたように目が見開かれた。
困ったように視線が泳ぐのを見て、自覚があったのか、と意外に思った。
「俺に……誰かと生きる術も資格も」
「資格、ねぇ。アンタその言葉好きですね」
「そういう訳では」
「ネハンもよく言ってますよ、幸せになる資格がどうこうって」
「!」
「そうやって後ろばっかり振り返って、そんなに過去は居心地が良いですか」
「……」
押し黙り拳を握り締める姿に嘆息する。
他人を死に追いやった自分は穏やかに過ごしてはならない、幸せになってなどいけない。
自分で何重にも掛けた枷に縛られて、何処にも行けなくなっている。
本当によく似ている。自罰的で、どんな痛苦にも耐えてしまうから助けさせてもくれない。
伸ばした手に気付いても貰えない側の気持ちなんて、これっぽっちも気に掛けない。
アンタらは勝手だ。自分以外に、自分を罰する人なんていやしないのに。
いつまでそこにいる気ですか。
いつになったら、立ち止まるのをやめて歩き出してくれるんですか。
いつまで待てば、一緒に歩いてくれるんですか。
固く握られた手を取り、戸惑った視線に知らんぷりをして引き結ばれた指を解いた。
力が入りすぎて手袋にまで硬い皺が寄っている。
労るように軽く掌を撫ぜると、ギュッと眉間に皺が寄った。
「カトル……」
困惑が声にまで滲んでいてどうしたらいいのか分からない、とありありと顔に描かれている。
黙って手を引くと、躊躇うように硬直した後恐る恐る付いてきた。
「お前たちの手を煩わせるつもりは……」
「卑屈になるのやめてくれませんか? 僕が咎めたのは勝手に消えようとしたことに対してです」
「言えば、引き留めただろう」
「それが分かってていなくなろうとしたから怒ったんです」
「物資とて有限だ、俺に割かずとも他に使えばいい」
「だから、」
振り返って思わず息を呑む。継ぎ掛けていた二の句はまっさらに消え去った。
仮面に覆われていない左半面は、目を疑うほど幼い表情を湛えて彼を自分より遥かに歳下の少年のように見せていた。
親とはぐれた子供のような顔。
うろうろと目が泳ぎ、困ったようにあちこちを見渡して最終的にこちらを見つめる。
言い訳をしたいけど思い付かない、そんな表情をしていた。
どうしようも無く未成熟な内面と不釣り合いな発達した肢体を引かれて歩く姿はまあまあ人目を引いているだろう。
らしくないことをしているとは思ったが、どうにも手を離す気にはなれなくて大きな掌を一層強く握った。
そのままネハンの診療所まで入ってしまい、指摘をされるまで気付けなかったことは記憶から消し去ろうと思う。
「…………仲がいいのだな」
「あってたまるかそんなこと」