雨樹_
DONEカトル×シスのSSまとめ。書いてて思ったけどシスの言行に「は?」ってフリーズするカトルが好きですね。
年下攻めはやっぱりかわいい。
1p→広義のイチャイチャ(やや殺伐)
2p→体調不良のカトルを気遣うシス
3p→怪我を隠すシスを迎えに行くカトル
あってたまるかそんなこと眼前に伸びてきた白く真っ直ぐな指先はどこか花の茎を連想させ、植物を相手にする静かな時間を想うと心が凪いで落ち着くのだった。
例えその指が猛毒を塗られた刃を握り込んでいたとしても。
眼球の僅か先でピタリと止まった刃を、無言で見つめる。
逃げないんですか、と訊かれ何故、と問うとぶわりと殺気が膨らんだ。
勢い任せに短剣が耳元に突き立てられ、数本の髪と枕から飛び出た羽毛が静かに散る。
どうやらまた言葉を選び間違えたようだ。
目尻に落ちた羽を瞬きして払い除け、正面に陣取る男を見上げる。
「カトル」
相手の瞳孔が開いているのが逆光でも分かる。深く息を吐き出した男は返事もせずにギロリと睨み付けてきた。
「舐めやがって……」
地の底を這うような低い声。そうじゃない、と喉元まで出掛かった言葉は、また神経を逆撫でしそうで、口から出る寸前で呑み下す。
7787例えその指が猛毒を塗られた刃を握り込んでいたとしても。
眼球の僅か先でピタリと止まった刃を、無言で見つめる。
逃げないんですか、と訊かれ何故、と問うとぶわりと殺気が膨らんだ。
勢い任せに短剣が耳元に突き立てられ、数本の髪と枕から飛び出た羽毛が静かに散る。
どうやらまた言葉を選び間違えたようだ。
目尻に落ちた羽を瞬きして払い除け、正面に陣取る男を見上げる。
「カトル」
相手の瞳孔が開いているのが逆光でも分かる。深く息を吐き出した男は返事もせずにギロリと睨み付けてきた。
「舐めやがって……」
地の底を這うような低い声。そうじゃない、と喉元まで出掛かった言葉は、また神経を逆撫でしそうで、口から出る寸前で呑み下す。
leeky_leeky
MAIKINGグラシス的救いを加筆して②シス過去捏造(ネハン独白)郷の技術を悪用し幹部となった俺には、ある程度の裁量が認められた。斯くして俺は郷帰りを果たした。
恐恐と足を踏み入れたその場所は、意外にも整えられていた。一見伸び放題に見える草は、要所が刈り込まれ、郷で生育していた毒草や魔物はきちんと管理されていた。
それは彼なりの贖罪の一つだったのだろう。
当時の俺は、どの面を下げてと激昂したものだが。
顔見知りや知らぬ者の家をまわる。何処も人の気配はなく朽ちているが、惨劇の痕跡は年月に洗い流されている。
カルムの郷は、暗殺を生業とし栄えた一族が、覇空戦争以来団結して身を隠していた集落だ。
覇空戦争が集結して、数百年。その間ずっと、外界から隔絶していた。つまり、一族間での交配が進んで、血は濃くなり、それ故に、いわゆる奇病や奇形、そういった者が増え、しかし既に郷は、外界と交わる事を選べなくなっていた。
1446恐恐と足を踏み入れたその場所は、意外にも整えられていた。一見伸び放題に見える草は、要所が刈り込まれ、郷で生育していた毒草や魔物はきちんと管理されていた。
それは彼なりの贖罪の一つだったのだろう。
当時の俺は、どの面を下げてと激昂したものだが。
顔見知りや知らぬ者の家をまわる。何処も人の気配はなく朽ちているが、惨劇の痕跡は年月に洗い流されている。
カルムの郷は、暗殺を生業とし栄えた一族が、覇空戦争以来団結して身を隠していた集落だ。
覇空戦争が集結して、数百年。その間ずっと、外界から隔絶していた。つまり、一族間での交配が進んで、血は濃くなり、それ故に、いわゆる奇病や奇形、そういった者が増え、しかし既に郷は、外界と交わる事を選べなくなっていた。
leeky_leeky
MAIKINGグラシス的救いを加筆してオンリーに間に合わせたいシス過去捏造痛い
寒い
ひもじい
眠い
苦しい
――
「泣き言を吐くな。感情を殺せ」
土の上で眠り、飛んでくる暗器を察知して跳ね起きる。
「いつ何時でも警戒を怠るな」
自分の何倍もある大きな大人と真正面から組手をし、圧倒的な質量差に敗北する。
「俊敏性を鍛えろ。手数を増やし、殺される前に殺せ」
――
「甘えるな。そんな力でカルムの長になど到底なれるものか」
「――はい、お父さん……」
物心ついた頃からそうだったから、疑問はなかった。
そういうものなのだと考えていた。
けれど、痛く、苦しく、――寒くて、辛くて――。
毒に慣れる為、致死に満たない量を摂取し、耐える訓練の最中。
胃の腑の内容物をぶちまける為、それは土蔵で行われていた。
鉄格子の嵌まった窓から、月明かりが差し込み、顔を照らす。
1596寒い
ひもじい
眠い
苦しい
――
「泣き言を吐くな。感情を殺せ」
土の上で眠り、飛んでくる暗器を察知して跳ね起きる。
「いつ何時でも警戒を怠るな」
自分の何倍もある大きな大人と真正面から組手をし、圧倒的な質量差に敗北する。
「俊敏性を鍛えろ。手数を増やし、殺される前に殺せ」
――
「甘えるな。そんな力でカルムの長になど到底なれるものか」
「――はい、お父さん……」
物心ついた頃からそうだったから、疑問はなかった。
そういうものなのだと考えていた。
けれど、痛く、苦しく、――寒くて、辛くて――。
毒に慣れる為、致死に満たない量を摂取し、耐える訓練の最中。
胃の腑の内容物をぶちまける為、それは土蔵で行われていた。
鉄格子の嵌まった窓から、月明かりが差し込み、顔を照らす。