貞53 現パロ 記憶あり×記憶なし
・起
毎日好きと伝えている渚と、全く靡かないシンジ
初めて好きと伝えた時
「どうして僕を好きだって……」「えと、一目惚れ?(まさか前世で出会ってたからとか言えないしなあ)」「……悪いけど、他あたってくれる」「え」
・承
この時代ではBLGTQだとか、同性愛者差別を無くすとかあるのに、彼は2015年のまま、異性愛者で止まってる。時代遅れだと思う。
いや違うか。上辺だけで謳われてるだけで、実際は全然異性愛者の方が多くて、マジョリティはそれだけで正義なんだ。
はあ、僕は男でも女でもシンジくんが好きなのに、どうしてこの世は性別で全てを決めるんだろう。
・転
シンジが危ない事をしようとして、渚が叱る
「なんだよ、君には関係ないだろ!?」
「あるよ!だって好きだもん!」
「……はっ、好き、ね。一目惚れ、だっけ」
「……うん」
「嘘だね」
「どうして君がそれを決めつけるの?」
「……昔、父さんに捨てられた日。助けてくれたの君だろ」
「え……」
まさか、覚えてたのか。
暑い日だった。まだ幼い頃、まだドイツに住んでた時だ。一度だけキールに無理言って日本に来た事があった。シンジ君のことを調べて、住所を把握していたから会いに行った。でも、玄関のチャイムを鳴らしても全く反応しないから、ドアノブを回してみたら、開いたんだ。
恐る恐る中を見ると人の気配がしなくて、外出するのに鍵をかけないなんて日本はいつからそんな平和になったんだろうなんて考えてた時、扉の向こうから音が聞こえてきた。なんだろうと思ってそのまま入ってみると、幼いシンジくんが倒れてた。僕は慌てて救急車を呼んで、意識が戻らないか色々試した。
医者にはシンジくんの友達で、今日遊ぶ約束をしていたと嘘をついて状況を説明してもらった。
栄養失調で倒れてたらしい。3日程何も口にしてないと聞いた時はシンジくんの親に殺意すら覚えた。何をしてるんだと拳を握って、身辺調査を始めた。
驚く事にシンジくんの父親はもう何日も帰ってきてないらしかった。分かりやすい育児放棄。母親が死んでから父親の当たりが強いと聞き、急いで日本に向かって良かった。あと少しでも遅れてたら死んでいたかもしれない。
そうしてあっという間にキールとの約束の3日が過ぎて、僕はドイツに帰ることになった。シンジくんは親戚の家に引き取られる事になった。
僕は別れ際に、眠ったままのシンジくんにキスをした。絶対近いうち迎えに行くから、それまでどうか我慢してて欲しい。そう願いながら、僕はシンジくんとお別れした。
あの時のことを覚えてたなんて。
そりゃ、突然家にやってきた奴が一目惚れしたなんて言っても信じられないよなあ。
頭を抱え、これからどうしようか考える。
シンジくんに謝る?いやこれは大前提。
真実を話す?信じてくれるのか?
結
全てを話して、仲直り。
付き合う。ハッピーエンド。