スレイ浄化シミュED2案【救済の代償】世界を救うためにスレイが人間性を失った話
マオテラスが意識を取り戻したとき、まだぼんやりとした視界の中に、ひとつの人影が立っているのが見えた。世界は穢れに満ち、混沌に飲み込まれようとしていたはずだ。だが、今、その闇は薄れていく。もしかして――
「……スレイ?」
彼の声がどこか頼りなく響く。しかし、返答は静かで、無機質だった。
「世界を救いに来たよ。」
その瞬間、マオテラスの胸が痛んだ。立っているのは確かにスレイだ。だが、あのスレイの優しげな笑顔や、仲間を思いやる暖かな目はどこにもない。彼の目には光がなかった。ただ世界を守るために立つ「道具」のように、スレイはそこに存在している。
周囲を見回すと、確かに世界は変わっていた。長く覆っていた穢れが少しずつ霧散し、再び希望の光が戻りつつある。彼の偉業は間違いなく世界を救った。だが、その代償に――。
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