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    てんぐさ

    ままー描いたよ見て見てー。使い方がわかんないよぉ。

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    てんぐさ

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    オークションをしているスパと知らなかったクリス君(クリスパ)

    厄介な装備「うわー!」

    地響きにも似た叫びに弾かれるように走る。闇の世界、ラルセイがあつらえてくれた自分たちの部屋の方からだ。過去に数回聞いたことのあるその叫びはスージィの物だった。何か恐ろしいことが起こったのではと不安に駆られて駆けつけると

    「離セー!離シテ!!」

    いつの間に自分の手元から逃げ出していたのか、スパムトンがスージィに首根っこを掴まれてもがいていた。

    「クリス!」
    「クリスサマ!!」

    自分の到着に気付いた二人はこちらを見てそう呼ぶと、また忌々しげに睨み合った。

    「おいコレ見てみろって!」

    スージィがその逞しい片腕でスパムトンを圧迫しながら、床に落ちているものを自分の方へ蹴って寄越した。

    「アーッ!商売 道具ニ 何をするんで su カ!!」

    メキメキと音を立てそうな勢いで捕まっているにも関わらずそれ自体には苦痛を感じさせない様子でしかしスパムトンは憤慨してジタバタと短い手足を振り乱している。何事かと足元まで転がってきたものを拾い上げる。見れば小さな青い小瓶だった。ラベルを読んでみるとスパムトンキャンドルと書いてある。香りも書いてあるが……思わず眉間にシワが寄った。

    「コイツなんかコソコソしてんなと思ったらそんなモン作ってやがったんだぜ!」
    「[[ソンナ]]もん、。とはなん、。だ!!コレで たく3[[クローメ]]ガ集まるndeathヨ」
    「誰が買うんだよ誰が」
    「モチロン![ [ リンクは削除されました ] ] 」

    僕とスージィは顔を見合せてため息を着いた。



    「スパムトン」

    スージィが付き合ってられないと彼を解放してから、改めて向き合う。

    「はい クリスサマ?」

    ケロッとして返事をするスパムトンはそれでも先程床にころがったキャンドルを検品するように手の内でぐるぐる回転させて見つめている。

    「何か企んでる?」
    「[[企ミ]]?? 違うまsu!コレ は[[BIG]]ナ [[商売]]デス!!」
    「だって……」

    そんなものを買う人が本当にいるんだろうか?
    呆れながらも最近入っていなかった自室のドアを開ける。

    「なん、」

    そこには様々な、様々な……なんだろう?……とにかく見覚えのないもの達がベッドの上や棚の上やラグの上に広げてあった。見れば何時ぞやクイーンの城で見たモナリザにスパムトンを雑コラしたような絵画や、ランサーの形のクッキーなどが見える。

    「これ…君のせいだろ?!」

    思わず声を荒らげて振り返るが、どこ吹く風でスパムトンはそれらを撫ぜたり何かをチェックしたり忙しなく動いていた。

    「勝手にものを置かないでよ」

    げんなりしながらそう伝える。

    「すぐに発送、。する から大丈夫deathよ」
    「……何?」
    「これから 梱包しテ送ルん です[ [ 全額返金いたしません] ] 」
    「一体……何処へ」
    「そんなの![[ベストカスタマー]]の皆サマへですヨ!![[早い安い安心]]!!」

    つまるところ、彼は自分の部屋で勝手に品を作り、いつの間にか勝手に商売をしているらしい。……頭が痛くなってきた。

    「それ、さっきのキャンドルも?買った人がいるの?」
    「はい」

    何を好き好んであんな奇妙なものを買うんだろう?そう思いながら部屋を見回し、ベッドの上にあるものにぎょっとした。妙に縦長いクッションにスパムトンの体がやや引き伸ばされた形でプリントされている。所謂あれは抱き枕と言うやつでは無いのか?
    あまりに奇っ怪なものを見たので変な唾を飲み込んだ。スパムトンは変わらず一人でウロチョロしているので、そっとそれに近づいてみる。サラサラの布に綿が詰め込まれたそれが自分のベッドの上にあることが妙に引っかかる。柄が見えるのが嫌なので、そっとひっくり返した。

    「ひぇ」

    しかしひっくり返した側にもプリントがあり、その、意味不明なことに、臀部が強調されたデザインになっていたので慌てて元に戻した。
    本当に、本当に、一体誰がこれを買ったって言うんだ?!
    それで、これで、一体、どうしようって、……と考えて、それ以上考えては負けな気がしたのでやめた。

    何故かふつふつと怒りが込み上げてくる。

    装備のくせに好き勝手している彼に?あまりにも意味不明な商品たちに?

    訳も分からずに僕は声を荒らげた。

    「とにかく!早く片付け……」

    て、と言いかけた相手のスパムトンが手にしているものが気になった。小さなハートのロケットのネックレス。

    「それ見せて」

    やめておいた方がいい、と頭のどこかで思っているのに仄暗い好奇心が自分を動かす。

    「ドウゾ?[[商品]]なので[[お取扱注意!!]]death」

    なんて、スパムトンも簡単に渡してくれる。
    そっとロケットを開くと、案の定彼の写真が入っていた。

    「……そっちは?」

    また別の小さな箱を見せてもらう。綺麗なブルーの宝石が嵌められた指輪が入っている。刻印は[YOU+SPAMTON]。
    目の前が真っ暗になった。

    ドン!と大きな音がして、ああ、自分が鳴らした音かと後から気付く。
    眼前にあるピンクとイエローのサングラス。
    長い鼻先が自分の頬に差し迫っている距離。
    スパムトンは急に押し倒されて床の上で固まっていた。普段通りの笑顔は張り付いたままだが、言葉もなく僕を見つめている。

    じりじり、ぐらぐら、燃えるような溶けるような熱くて重たい黒い黒い感情を冷ますように逃がすように僕は大きく息を吐く。
    吐かれた息の先で、スパムトンは微かに震えた。

    「……、色んなこと、勝手に、しないで」

    声色がこれ以上怒気に塗れないように慎重に言葉を繋ぐ。
    スパムトンは何か言いたげに口を開いたが、僕がその腕を床に殊更強く縫いつけたのでそれを諦めた。

    「……、キミは、僕の…………[[ディールメイカー]]なんだから、いいね?」

    そう。
    こんなことで、この奇妙な男に振り回されたくなんてないんだ。

    こんな感情を、持ちたくないんだよ。
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