お菓子作り発端はひと包みのカップケーキだった。
釘崎さんがクリスマスに向けて菓子作りの練習をしているところに虎杖君、伏黒君を巻き込んでの練習会になったらしい。
試行錯誤の末に出来上がったものを消費の名目で渡されたというカップケーキ。
三人からひとつずつ、計三つを順番に、五条さんが目の前で嬉しそうに頬張っていた。
「クリスマスに向けて今から練習は随分気合が入っていますね」
まだ11月に入ったところで、街並みもハロウィンから少しずつクリスマスムードに切り替え始めていた。
「野薔薇は真希に渡すから下手なもの作れないって頑張ってるらしいよ」
美味しかったと満足そうに笑いながら指を舐める五条さんを嗜めながらティッシュを渡す。断って手を洗ってくると席を立った五条さんが捨てた紙カップを見て、知らず眉間に皺が寄った。
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