ある職員の昔話ある大雨の日、普段なら鬱陶しい雨も今日はどうってことない
傘を差し真っ赤な長髪を嬉しそうに揺らして家路につく
今日は珍しく出来立てのパンを買うことができた
偶には両親に美味しいものを食べさせたいとコツコツお金を貯めていた
ジョシュアの家はけして裕福ではないが暖かく周りに恵まれて過ごしていた
「喜んでくれるかな」
早く食べてもらいたいと自然と帰る足が早まる
少ない人混みだったが反対側から傘をささずふらつく男と肩が軽くぶつかった
「あ…!」
男はそのまま倒れてしまった
よくよく観察すると、着物を着た男の体には包帯が巻かれておりますかに見える隙間からはひどい火傷を負っている
「ごめんなさい、余所見してて…大丈夫?」
傘を傾けて男を入れてあげる
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