家に着いたのは、23時まで後10分のところだった。手洗いうがいと部屋着に着替えるだけして、一人掛けのソファに腰掛けてテレビを着ける。番組の予告があってからというもの、今夜をご褒美に馬車馬のように働いてきたのだ。
予定時刻となり、バラエティ番組が始まった。タイトルコールやスタジオゲストの紹介が終わり、1つ目のVTRが流れ出す。画面に映し出されたのは、私の推しユニット、『UNDEAD』のメンバーである羽風薫くんだ。
あぁ、尊い。可愛い。この笑顔が後30分間無料で観られるとはどういうことか。拝観料を支払わせてほしい、切実に。
あまりの感動で叫びそうになった口を押さえつつ、スマホでSNSをスクロールする。案の定TLはオタクの阿鼻叫喚で埋め尽くされていた。
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