僕だけが知る昔話誰かに会いたいと思うなんていつぶりだろうか。
僕はたまたま見つけた写真を見つめて、率直にそう思った。
もう小さな図書館が作れそうなほど本が積み重なる小さな家の中、整理をしている途中で見つけた、ボロボロに掠れたアルバム。
もう写真が追加されることもないだろうそのアルバムをそっと開いた先に、偶然『その人』が映っていた。
……いつのまにか皆が……あの人も、いってしまって。それから時が経つにつれて、いつからか『誰かに会いたい』なんて思わなくなっていた。
……『今の世界』で、誰かに会うなんて、くだらないことだから。
……あの人は。今の現状を見たら、どんな風に言うのだろう。
……きっと、あの人は何も言わない。けど、悲しい顔をするんだろう。
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