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    coco_otome

    オトメ勇者/✡️🎀メイン/20↑/雑食

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    オトメ勇者版週末創作一本勝負 第13回のお題より「残暑」。
    B's-LOG 2021年6月号のリーンハルトさんのインタビューのネタバレも含みます。
    昨日のイクサさんの誕生日の質問でタイムリーだったのと、そろそろ残暑というには季節が厳しくなったので書いてみました。

    ##リーアス

    夏の終わりの秘密 / 🌹🎀 その秘密は、日課の報告で発覚した。午前のレースを終えたアステルは、本日の報告書の提出にクロービスの執務室を訪れている。平時とほぼなんら変わらない勇者の日常の一幕であるのだが、この日はある一点だけが違っていた。机の向こうのクロービスへ書類を手渡した時の怪訝な様子に、アステルは原因へと思い至ると申し訳なさそうに弁明を始める。

    「ええと、実は先日いただいた香水をつけてみたんですけど……。もしかして駄目だったでしょうか?」

     贈り物の内容からとある人物に思い立ったクロービスは、眉をひくつかせると何かを言おうとして結局止める。その様子に勇者としての服務規程に問題があったと思ったのか、アステルは不安げに佇んでいた。クロービスは即座に今後考えられる面倒事を勘案し、想定した人物の最近の挙動を踏まえて処遇を決める。

    「……量の加減を間違えねば問題はないだろう」
    「本当ですか!」

     わあっと心底嬉しそうに、アステルは花咲くような笑みを浮かべると、退室の礼をしてうきうきとした足取りで去っていった。表情に似合いの芳香はふわりと漂い室内に残っている。直後、本日二組目の来客がドアから顔を覗かせた。

    「お茶を持って来たんですが、一緒に飲みませんかー?」
    「おや、姫とは入れ違いになってしまったかな」

     部屋の主の許可を取ることなく、二人は歩みを進めると茶会の準備を始める。四人用のティーセットを並べると、リーンハルトはアステルを呼びに行くと言い残し、部屋を後にする。残されたサシャは何かに気が付いたのか、クロービスへと問いかけた。

    「クロービスー、ルームフレグランスを変えましたかー?」
    「いや、この部屋にはそんなものは置いていない」
    「変ですねー、リーンハルトかと思ったんですが、少しだけ違うような……?」

     不思議ですねー、と首を傾げているサシャの言う通り、軽やかな希少な薔薇の残り香には先ほどの香りが同居していた。片方ずつでは各々の個性を引き立てて、揃うと見事に調和するということは、言わずとも誰が仕組んだかは自明である。クロービスは連れだって歩く足音を耳に野暮な指摘を飲み込んで、これからの対応に頭を悩ませることにしたのだった。
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    🌹🌹🌹🌹🎀☺☺☺☺☺☺🇱🇴🇻🇪💕🌹🌹🌹🌹🌹
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    Replies from the creator

    coco_otome

    DONEオトメ勇者、マンガ5版完結おめでとうございます☺️
    そんなわけで、遅ればせながらエンディング後のクロービスさん視点のクロアスのお話です。
    思い出して速攻迎えに来るパターンもいいなぁと思いつつ、記憶戻るまでにちょっとラグがあってもいいよねと思ってこんな感じになりました。
    改変後の世界のクロービスさんが幸せそうで本当によかったなー。
    欠けた世界が満ちるまで / ✡️🎀--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------





















     己の記憶が定かではなくなったのは、一体いつからだったというのだろう。
     見慣れた平和そのものの城下の風景が、眩くも明らかな欠落を抱えている。この光景が見たかったのだという感慨と、だがそれには彼女がまだ足りないという焦燥がクロービスを視察先とは反対方向の馬車乗り場へと向かわせていた。今の今まで意識することはなかったが、通りは綺麗に道が整えられており記憶よりも走りやすい。それは魔物の襲撃が頻繁にあった以前の世界であれば驚異的だが、現在ではなんの変哲もない極めて普通のことである。なにせこの世界は、最初から魔物の脅威にさらされたことなどなかったのだから。
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