捨てる神あれば、拾う神あり。そして、僕は落ちていた神を拾う。暦の上では秋も深まっているはずなのに、その日は夏が帰ってきたように暑かった。
日陰から陽の照っている道に出ると、太陽の光が燦々としており、ただ歩いてるだけなのに汗ばんでくる。太陽が苦手な花城は顔を顰めた。
借りているマンションから駅まで、何となく、その日、普段とは違う土手沿いを歩くことにした。蒸した空気は暑く、川でも見れば気が休まると思ったのだ。
アスファルトで雑に舗装されている道を土手を降りて歩くと、水面がキラキラと光っている。
ふぅと息を吐いて、着ていたパーカーの袖を捲り、黒い鞄を片方だけ肩に掛けて、再度歩きだす。まだ、地面に生えている雑草は雨露が渇ききっておらず、湿ったままの緑を天に伸ばしていた。
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