「メイメイさんがそんな事、できるはずありませんから。信じてますよ。」
何の根拠もないのに、自然と口をついて出てきた言葉に自分自身で土浦一色は頷いた。
人間離れした、目にも止まらぬ速度で距離を詰められて尚、脅威が振われそうになったというのに、それでも信じるというのだ。場違いな発言だろう。
「ふふ、不思議な人。」
しかし彼女もまた場違いに微笑む。纏う色は違えども、紛れもない一色のよく知る、箱庭の主人だ。
一色が彼女を見間違うわけがない。見間違える筈が、ないのだ。
彼女は自分自身を、メイシア・メイルナリアの楔であり、闇であり、心の叫びであり、巣食う一匹の獣であると称した。メイシア・メイルナリアをそのままで居させるわけにはいかないと、そうも言っていた。聞き間違えなどではない。
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