アシュフェリ人魚現パロうだるような暑さの中、自宅に帰ってまず風呂場の扉を開ける。
「ただいま、フェリクス」
「おかえり」
暑さのせいかぐったりしたフェリクスは水を溜めた浴槽の中でちゃぷちゃぷと尻尾を浴槽の淵を叩いて不満げだ。
僕の家の大して広くもない、狭い浴槽には人魚が住んでいる。
フェリクスが人魚になったのは、大学が夏休みに入って一週間ほど経ってからのことだった。フェリクスの部屋から僕の家へと彼を連れてきて浴槽に住まわせて数日経つ。慣れてきたのか、最初は困っていた彼だったが人魚になったのが夏休み中でよかったと言っていた。
人魚というのは足が、魚の尾っぽのようになって手にも水かきのようなものになってしまっている。僕は生まれて初めて見たが人魚は随分と美しいもので、暑さと熱に弱いらしい。
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