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    amampanda

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    amampanda

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    現パロテスデイ
    HoneyBunnyと同じ2人
    ぺぺさんも出て来ます
    バレンタインの短文です
    デイが当社比乙女
    ベタな少女漫画みたいな展開


    大丈夫な方はどうぞ

    Bleu de toi 「明日、どうするの?」

     妙蓮寺の突然の問いかけに、デイビットは言われたことが理解できずに首を傾げた。

     「……何かあったか?」
     「何ってバレンタインデーよ、明日。」
     「オレには関係無いイベントだと思ったが、」
     「やだー!本気で言ってる?」

     泣いちゃうわよ、彼氏とこっそり耳打ちされて、頬に一気に血が集まったのが分かる。
     耳まで熱くて、言葉を発しようにも上手くまとまらずにたった一言。「そうか。」としか言えなかったデイビットを楽しそうに妙蓮寺は見つめて、手を引いた。

     「そうと決まれば、今からでもチョコレート買いに行きましょう!」

     どうやら日本ではバレンタインデーにチョコレートを思い人や恋人に贈ることが定番らしく、引きずられるように連れてこられた百貨店の催事は女性客で溢れかえっていた。
     男性客は自分たちを含めたほんの数人で、いくらジェンダーフリーが当然な世になったとは言え、刺さる視線に居た堪れなくなる。
     もともと人混みが苦手なこともあり、着いた瞬間から帰りたくなってしまったが、そのことに恐らく気づいているだろう、妙蓮寺は止まらない。

     「ド定番もいいけど、やっぱりデイビットの性格的に掘り出し物を探す方がいいかしら?」

     フロアマップを見ながら、獲物を見定めるような友人に歯切れが悪くデイビットは質問する。

     「本当に必要、なんだろうか?」
     「絶対必要よ!アタシはあのムダに顔がいい男が残念がる顔もみたいけど、貴方はそうじゃないでしょう?」

     食べ物に固執するタイプではない恋人が、たかがチョコひとつ貰えなかったとして悲しむだろうか?という疑問はあるが、デイビットが気付かないこと(主に恋愛に関すること)を指摘してくれる妙蓮寺の言葉はきっとこのまま受け入れた方がいいんだろう。
     「分かった、探してみよう。」
     波打つ人がきをかけ分けて、意を決したように進むデイビットの後ろ姿を優しく見守って、あまり自分の容姿に関心が無い彼にちょっかいをかけてくる輩を牽制することを第一にしようと妙蓮寺は目を光らせた。
     




     そして、バレンタイン当日。
     鞄に潜ませているのは昨日ぐるぐるフロアを見て回って買ったチョコレート。
     見た目もさることながら、名前がとても気に入ってしまい、彼にテスカトリポカにあげるならこれがいいと即決したものだった。
     ちょうど夕方、部屋に呼ばれていたこともあり、さっさと渡そうとしたが、リビングに置いてある紙袋に大量に入ったチョコレートたちをみて、らしくも無く躊躇ってしまったのだ。

     「…………すごいな。」
     「あぁ、ちょうど仕事が入っただろう?そのせいで職場の奴らと、患者から預かってたって妹から押し付けられた。」

     もちろん手作りは遠慮したから、安心して食べれるぞと、カラカラと見当違いのことを言われば、やはり自分には関係のないイベントだったと少しだけ高揚していた気持ちが沈んでいくようだった。
     あれだけ勘のいい妙蓮寺がこの手のことを外すのは珍しい。
     表立って顔に出ていたわけではないが、さすがは恋人というべきか心配したように額に手を当てられる。

     「どうした、具合悪いか?」
     「……特に問題ない。」
     
     いつもなら大人しくされるがままになっているのに、反射的に避けてしまって、それより、シャワー借りていいか?と強引に話題を変える。
     我ながら驚いてしまうが、期待していたのだ。テスカトリポカが喜んでくれるかも知れないと。勝手に期待して勝手に落胆するなんて、子どもじみていて恥ずかしい。
      
     「…………デイビット、それで誤魔化せてると本気で思ってんのか?」

     目の前の男の空気が変わった。
    少しだけ怒っていることは声だけで伝わってきて、いつもなら少しも逸らさない視線を彼の首元へと落としてしまった。

     「………………、」
     「だんまりなんて、らしくねぇな。言いたいことがあるなら言え、言わなきゃ分からんこともあるだろ?」
     「……それも、そうだが、」

     優しく頭を撫でてくれるから、つい甘えそうになる。
     けれど、柄にもなくチョコレートを用意してたけど、他からたくさんもらってるし、別にオレからは欲しくなさそうだったのが悲しかったなんて、言えるわけが無い。考えが幼稚過ぎて、呆れられてしまう。

     「……オレが何をしても、テスカトリポカは笑わないか?」
     「約束は出来ない、面白ければ笑うのが普通だろう?まぁ、お前が望むなら努力はしてやるよ。」

     保険をかけるように問いかけると、テスカトリポカは揶揄うように答える。でも、表情はどこまでも優しかった。
     どう考えても待っていてくれている。
     いつまでも時間を無駄にしている自分にらしくないと叱責してデイビットは、意を決して置きっぱなしにしていた鞄から、小ぶりな青い箱を取り出した。

     「テスカトリポカ、これを、」

     予想だにしていなかったんだろう、テスカトリポカはそのブルーグレーの瞳を見開いて固まってしまった。
     いたたまれない空気が流れていることだけは分かってしまって、いっそ鞄に戻そうかと箱を引こうとすると、テスカトリポカはまるで野生動物のように素早く、デイビットの手から箱を奪う。

     「今、無かったことにしようとしただろ?」
     「そんな反応をされたら、誰だって無かったことにしたくなる。」
     「予想してなかったことが起きるとたまに思考が止まるじゃねぇか、それだよ、それ。」

     目の前で箱を止めているシールを慎重に剥がす恋人は、どうみても嬉しそうで、中身を見て更に感動したようにいそいそとスマートフォンで撮影を始めた。
     
     「ハートのチョコレートなんて、デイビットって情熱的だなってテスカトリポカ思うワケ。」
     「……?心臓が好きだろう?」

    ハートは心臓を記号にしたもの、それくらいの認識だったが、違ったか?と、照れることもなくそう言うと、心臓の手術が得意なのと、好きなのは別だろと引き気味に言われた。
     薄い水色から、空色、青が並んだハート型のチョコレート、ハートはテスカトリポカが好きなもの、色はデイビットが好きな彼の瞳の色の変化に似ていて惹かれた。
     それよりも、何よりも、普段あまり伝えられてない言葉もあのチョコレートに乗せられていることにきっと浮かれきった恋人はまだ気づいていない。
     妙蓮寺、疑って悪かった、と心のなかで謝りながら、勿体無くて食べれないと真剣に悩む男の可愛らしい一面に目を細める。

     「今度こそシャワー借りるぞ。」

     満足げに浴室へと足を向けたデイビットは、数分後、テスカトリポカがその言葉に気付いて、浴室まで走って来ることも、なし崩しに抱かれることも流石に予想出来なかった。

     

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