「おいそっちどうだ!」
「いえ、こっちにはいません!」
「くっそ!侵入者一人にどんだけ時間かかってんだ!」
飛び交う大声、バタバタと忙しなく混ざる足音。
船員総出の一大事。
そんな中、船内の物陰に身を隠し、すぐ後ろを通り過ぎた足音にホッと胸をなで下ろす男が一人。オレンジ色のくせっ毛をぴょこぴょこと遊ばせ、前髪に黄色のメッシュが入ったこの男こそ、この騒ぎを起こした張本人。
船員は10人程だと聞いていた。ならば余裕だと啖呵を切って滑り込んだ敵船。宝物庫を求めて鼻歌混じりに曲がった角で、バッタリ。敵と向き合って思わず挨拶、こんにちは。
「ははは……」
苦し紛れになんとか誤魔化しの薄ら笑い、キョトンと目を丸くする敵を置いて、彰人は一目散に逃げ出した。すぐさま後ろから割れんばかりの怒号が飛ぶ。どうしたどうしたとわらわら。次から次へと沸き出てくる船員に、彰人は心の中で怒鳴り散らした。
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