ふわふわしてる長義と布くんの話この本丸の山姥切長義は随分とふわふわしている個体だ。苛烈で傲慢な様子は欠片もなく、本歌と写しの関係性についても争うことはない。ニコニコと無垢な笑顔を振りまいている。山姥切国広はそんな長義のことが好きだ。本歌と写しという関係だから、というわけではない。恋仲になったのだから。触れ合いたい。愛し合いたい。しかし無垢な長義を己の醜い欲で汚すことは憚られた。
(もしそんなことを告げて嫌われてしまったらたちなおれない)
長義は国広に対して穏やかに接してくれる。それでいい。これ以上を望んだら身に余る。国広は自分にそう言い聞かせた。
ある夜。
国広は遠征終了後部隊の皆で晩酌をすることになった。飲まされた国広は悪酔いしてしまいすっかりグロッキーに。
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