Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    kaoruhana03

    @kaoruhana03

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 78

    kaoruhana03

    ☆quiet follow

    少し間に合わなかったけど4月14日はオレンジデーと言うそうで、その由来となった事を元に🌟👻🌟で書いてみました♪ほのぼのです!

    ORANGE DAY【トリゴストリ】飲み物を取りに来るついでで、
    訪れた酒場カウンターが
    珍しく女性キラーで埋まっていた。
    その声は実に楽しそうで何となく僕は彼女たちの話に
    入り込んだ。


    『そうなんですよ!私も最近知ったんですが
    4月14日はオレンジデーと言うそうです』


    楽し気に話を切り出して居たのは山岡凛
    それに対してそうなんだ!なんて両手を合わせ
    可愛く反応を見せるのはリージョン一派の一人スージーと
    ジュリーその三人で華やかに彩られ、カウンター向かいには
    ふわふわと身体を浮かせながら話に耳を傾けるナース迄いた。


    『で?そのオレンジデーってなに?』


    僕は耳に残ったその言葉が気になり、つい会話に割り入ってしまった。
    カウンターに座っていた三人の女性キラーは些か驚くも
    ナースだけは驚いた雰囲気も無かったようだ。


    『びびび、吃驚しちゃいました!!こんにちはゴーストフェイスさん!
    えっとですね、オレンジデーって言うのは、
    日本の愛媛県で発案された記念日だそうでオレンジ色のモノを
    大切な人に贈り合う習慣があるんだそうです。』


    『へぇー……何かバレンタインデーとかホワイトデーとかによく似てるね?』


    『まぁ。そんな感じだと思います。愛媛はオレンジ生産してる県なので
    オレンジを広めたいと思った事と、あと
    オレンジの花言葉が素敵でして!なんと!花嫁の喜び。
    なんていう花言葉がありましてね!!それを使ってオレンジデーと言うのを
    発案したそうなんです!』


    『え!オレンジにそんな花言葉があるんだ!素敵じゃん!!』


    『へぇ……。』


    隣に座るジュリーが喰い付く。
    僕は適当な相槌で大して興味のない話に早々飽きて、
    その場をそっと離れようとした僕に、ナースがにっこりと
    言葉を述べた。


    『オレンジ……トリックスターに似合いそうよね?』


    『え??』


    急に話題を振られ、その場を離れようとした僕を四人の瞳が縫い付けた。


    『良い考えですね!!!そうですよ、ゴーストフェイスさん!
    日頃の感謝を込めてトリックスターさんに
    オレンジのモノプレゼントしたらどうですか??
    きっと凄く喜んでくれそうですよ!!!』


    『えぇ!?いや、何で??』


    『そーだよ、あんた結構トリスタに世話になってんでしょ??
    たまには誠意見せて何かプレゼントくらいしなよ男らしくさ!!』


    『いやいや、僕男らしいとか知らないし!!』


    『え、え!!良いと思う。とっても素敵な事だと私は思いますよ!!』


    『ちょ、スージー何か凄いぐいぐい勧めて来てない??
    いや何で僕、話聞いてただけだけど?』


    『『『良いから何か上げようよ!!!!』』』


    『えぇー……』


    『んー……でも唐突に何かって言われても困るでしょうね
    ……あ、そうそう、良ければ私の使っていない
    黄色いストールとかどうかしら?
    一応少しくらいの寒さ対策にはなるわよ?』


    何処から取り出したのか、真っ新な黄色いレースのストールを
    半ば強制的に渡され、黄色い声援と共に
    僕は酒場から追い出された。


    『……飲み物取りに来ただけなんだけどなぁ……何でこうなった訳?』


    一人ごちり仕方なくストールを抱え部屋に戻り、扉を開けるなら
    ほんわりと珈琲の良い香りが部屋に広がっていた。


    『あ!ゴスフェ、グッドタイミングだったね??
    丁度コーヒー淹れた所なんだけど飲まない??』


    『君が部屋で珈琲淹れるの珍しいね??
    何時もはミネラルウォーターか、無糖紅茶飲んでる癖に』


    『だって、珈琲はゴスフェが淹れた方が絶対美味しいから
    君が淹れた珈琲の味を覚えた僕の舌がさ??
    自分で淹れた珈琲じゃ物足りないって判断しちゃってさ
    それきり淹れるの億劫になって……』


    『だったら何で今日淹れたの?』


    『ブラックデーだから』


    『ブラックデー?』


    『まぁ、意味合いは少し違うけど、仲間とその日は
    黒いものを食べたり飲んだりして
    楽しく過ごすって非公式だけどちょっとした記念日が韓国にはあってさ?
    それを何となく思い出したから、黒と言えば……で、
    君が好きなコーヒーが真っ先に浮かんだから、こうして淹れたんだ
    流石に君が淹れた珈琲には劣るけど……どう??』


    遠慮がちにコーヒーカップに注がれた、
    琥珀色の液体をトリックスターは僕に差し出した。
    その香りは華やかで甘く、僕は誘われるようにそのカップに口づけた。


    『……』


    『ど、どうかな?』


    『……まぁまぁ、かな?』


    何だか素直に褒めるのが少し照れ臭くて、はぐらかした言葉に
    少しだけ胸がチクリと痛んだ気がした。


    『やっぱりそうだよね……わっ、なに?これ?』


    その痛みを紛らわせるように
    手に持っていた黄色いレースのストールを彼の頭に乱雑に被せた。
    それは仄かに彼の顔を滲ませて、まるで結婚式のベールの様で
    彼の整った顔を一層引き立てた。


    『……これ、僕に?』


    『何かナース達から君へ渡せってさ。
    韓国ではさっき君から聞いたブラックデーって言うみたいだけど、
    日本では違ってオレンジデーって言うんだってさ?』


    『オレンジデーって?』


    『……さぁね?それは君が勝手にスマホで調べてよ』


    『うん、調べてみるよ』


    何だか、羞恥心を通り越して誤魔化す自分が恥ずかしくなってくる。
    今更ながら彼に被せた黄色いベールを見る度、"花嫁の喜び"何て言葉が
    頭をよぎる。そもそもついさっき知ったこの日の意味に深さなんて無いだろう。
    意識するだけ無駄なはずなのに、妙に彼の笑顔が見たくなって僕は
    コーヒーカップをテーブルに置いて、彼に被せたベールを不意に捲り
    自身のマスクを少し上げたなら彼の唇を奪った。


    『んっ!?』


    『……ホントは珈琲美味しかった』


    『え??今、美味しいって言った?』


    唇を離しベールから手を退けたなら再び彼の顔を覆ったベール越しに
    オレンジ色に滲んだ彼の笑顔があった。


    『ホント、ゴスフェって変に素直じゃない所あるよね?』


    『……うっさいな、そうやって突っ込んでくるから素直に言うの嫌だったんだよ』


    『でも、美味しいんだろうなってのは何となく分かってたよ』


    『え?』


    『君の声僕の珈琲飲んだ時、ちゃんと喜んでたもん』


    『……っ!?』


    『流石にキスして美味しいまで言ってくれるとは思わなかったけど』


    『煩い煩いそれ以上言ったらその口黙らせるけど??』


    『黙らせる??ふふ、例えばこんな風に?』


    『んぅっ!?』


    僕の腰を抱き寄せ、僕のマスクを完全に取っ払ったなら
    ベールを捲り再度彼の唇が重なった。


    『ゴスフェ、ストール有難う。今度は僕からもオレンジ色の何かを送るね』


    『え……君、まさか知ってて……』


    『んー、どうかなぁ??』


    『このっ……』


    『愛してるよゴスフェ。』


    『誤魔化すな』


    レースのストールで顔を隠して楽し気に笑う彼を
    見て、少しだけ、ほんの少しだけ可愛いと思った事を
    胸に留めてマスクを被りなおした。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator