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    柊・桜香

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    柊・桜香

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    読み書きや文字を理解出来るようになった篭手切と、ちょっとやらかした豊前のはなし

    ##現パロ江

     日中も大分動けるようになってきました。起き上がる時間も増えてきました。そのおかげか、夜もたくさん眠れるようになりました。いやな夢を見ることも無くなりました。
     村正さんは私に文字を教えてくれると言っていました。言葉が話せなくても、文字が書ければ相手とお話し出来るからと。
     私はひらがなは書ける、読めるので、村正さんは漢字を教えてくれると言いました。あとは、多くの言葉の意味も。読めるようになって、理解出来るようになれば、きっと世界ももっと見られるからと。
     そうすれば、豊前さんが言っていたきょうだいやりょうしんの意味も分かるのだろうか。
     分かるようにならないといけない。きっとその人達に会いに行くのだから。
     村正さんは大きな本をくれました。じしょ、という物だそうです。早速使いましょうと言うので、使い方も習いました。じしょと言うのは、言葉とその意味を書いている本のことで、とても多くの言葉が並んでいました。けれど、言葉を調べるためには言葉が必要だとのことで、まだ辞書の出番は来ないようです。
     村正さんに教わっている間、豊前さんは部屋の角でずっと私達を見ています。時折いなくなる事もありますが、多くの時間はいます。
     豊前さんが私を見ているとき、ちょっと変わった目をしています。
     そういえば、どうして豊前さんは私をあの場所から出してくれたでしょう。
     御役目も、もうしなくて良いと言っていました。しなくて良いなら、別の人間が御役目をしているのかも。
     そう考えると、ちょっとだけ胸の方が苦しくなりました。
     豊前さんに聞いてみようかな。どうして私を出してくれたのか。



     こて……あの子供が村正から教育を受けるようになった。一先ずは読み書きのお復習いと言葉を教えるんだと。
     言葉は理解出来ているならいいじゃねぇかと思ったが、人間の世は面倒らしい。言葉も知らないと、異常者としてみられると言われた。それはダメだな。
     子供の体つきは少し肉がついてきたが、だがまだまだだ。町の子供よりもまだ小さく細い。もう少ししたら肉も食わせたいんだが、村正がどう言うか。
     村正と言えば、アイツが世話になっている東海の知り合いとやら。養子にすることが出来なかった後妻の子供が、同じ年の子供と東京に進学して二人暮らしを始めたとか話していたな。もうそんな時期になったのか。少し時間が掛かりすぎたみたいだ。
    「豊前。話がありマス」
     子供が眠ったあと、村正が声を掛けてきた。念のために具合を見ていた俺の本体とも言うべき刀をしまって、村正と向き合う。
    「あの子供、何処に預ける気でいマスか」
    「予定通り、親父殿の所だ。連絡は入れてあるが、まだ何時になるかは言ってねぇ。あの2人にも連絡はしねぇとな。子供の情報をくれたの、周防の方だからよ」
    「そうデスか。豊前、確か加賀の方は、こういう手合いに慣れていましたよね」
     何が言いたいのかと村正を見ると、新聞の切り抜きを俺に見せてきた。そこには、あの子供がいた集落のことが書かれている。
    「流石に人死には隠しきれなかったみたいデスね。あの集落も少しは世間を気にするみたいデスが……。アナタにしては、爪が甘かったようデスよ」
     そこには、不審な男の話と死んだ集落の人間の話が書かれていた。不気味な目をした黒髪の男が来訪した翌日、集落の人間が数人死んでいるのが分かったとも書かれている。
    「へぇ。大変だな」
    「アナタ!分かっているんデスか!?痕跡は消したと言っていたじゃあないデスか!」
    「そうなんだけどな。感知できねぇモノが在ったかもしれん。この時代、力が十全に出ないのはお前も知ってんだろ」
    「それは……!っ、すみまセン、アナタの方が分かっているというのに」
    「いーんだよ。でも不味いな。ここは余所に警戒心もあるとは言え、隠しきれるかは時間の問題だ。直ぐにでも発ちてぇが、子供はどうだ」
     村正は子供を見た。そうして難しい顔をする。
    「……正直、長距離の移動はまだ難しいでしょう。漸くここまで、と言った具合です。ここからあの場所まで、どれだけ掛かるか」
     不安要素は、俺も村正もまさにそれだった。
     子供の衰弱は酷く、虚弱に持ち直すまでここまでかかった。今は暖かい時期とは言え、北に向かうとなると僅かに気候は違ってくる。
     だが。
    「なら俺が力を使えばいい話だ。むざむざ人間にあの子供を引き渡してたまるか」
    「豊前!」
    「でーじょーぶだよ。ここも、少し弄る。それで三月は持つはずだ」
    「……世話を、かけマスね」
     村正はそう言うが、元はと言えば俺の力不足が招いたことだ。村正は、よくやってくれている。
    「まぁ、休み休みいくさ。折角なら、景色もみせてやりてーからさ」
    「そうデスね。なら、明日から旅程を組みまショウ。流石にバイクは使えませんよ。あの子にその体力はありまセンからね」
     残念だが、そうするしか無い。うっかりカーブで吹っ飛ばしそうになったら、俺があの2人にシメられるからな。
     ほんの少し気を張った所為か、目が冴えてきた。
     少し見回りをしてから、身体を休めるか。



    ・???
    青葉こと篭手切の霊魂をもつ少年。
    すこし肉がついてきましたがまだまだです。
    読み書きが出来るようになりました。今日は夢も見ないですみそうです。

    ・豊前
    信仰者がいるとは言え、神としての力は弱いため今回弄っても及ばない範囲が出てきていた。
    このあと忍者の如く夜の町を駆抜ける。犬ではありません。
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