戦争が終わって、軍に出ていたパパやお兄ちゃんが帰ってきた。近所の友達もそうで、悲しい顔をする子や嬉し涙を流す子達で街が良くも悪くも賑わいを取り戻した。最近この街にやって来たおにいさんもそうで、元々ここに住んでいて長らく不在だったところようやく帰ってきたらしい。とっても背が高くてハンサムだからママ達の間ですごく噂になってて、あたしは気になって声をかけた。それがきっかけ。色んな国を旅してきたらしくおにいさんは嘘みたいな冒険話を顔を合わせる度に聞かせてくれた。あたしは夢中になってお話を聞いた。それから両手でも数え切れないくらいおにいさんと遊んでいくうちに、あたしはおにいさんが聞かせてくれる冒険話よりもそれを話しているおにいさんの顔や仕草が気になるようになった。
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