ひとつ、相手は慎重に選ぶこと二股をかけられてブチ切れたティナリが、2年間も惰性で付き合っていた恋人にキッパリ別れを告げたのは、丁度新月の夜だった。
明るい性格で一緒にいてそれなりに楽しかったが、如何せん節操がなくてチャラかった。真面目に付き合っていたつもりだったが、所詮ティナリは遊び相手の1人だったのだ。ただそれだけだった。
ヤケクソになって、飲み友達のセノとカーヴェを引っ張り出してシティのバーで酒を煽る。
悲しい気持ちなどとうに覚め、静かな怒りだけが残っていた。恋人一筋で必死に可愛いを取り繕ってきた僕の2年間を返せ。
⚖️「別れて正解だった、ティナリ。俺は本当はいつ別れるのかと気にしていた」
ぐいっと勢いよく猪口を煽ったティナリの背を、セノが優しく撫でながら話す。
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