小さな宇宙 高校の同級生から来た葉書を何度も読みながら、ソファでだらしなく寝そべっていたら、急に世界が薄暗くなった。
「……きみなぁ、お邪魔します、とかそれくらい言えんのか」
「お邪魔します」
棒読みでそう返しながら火村はひょいと体を起す。再び視界が明るくなったことに満足しながら有栖はよ、と身を起した。
「こんな時間にどうしたん」
言いながら時計を見ると、もうすぐ十一時になろうという頃だ。
「いや、明日も大阪に用があるから」
「フィールドワークか?」
そう聞いてみると火村はネクタイを取りながら、
「いや、本業の方」
「なんだ、そうか」
「なんだよ、その残念そうな声は」
「いや、予想が外れたからそれが出とるだけやろう」
実際は残念じゃなくて安心してるのほうが割合として高いのだが。
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