春に似ている。「……ん、朝?」
ゆったりとした調子で起き上がって目を擦る冬弥に、オレは聴いていた音楽プレーヤーを止めてイヤホンを外す。
「いーや、昼」
「……それは、随分と寝過ごしてしまったな」
そういいながら、ふぁ、と小さく欠伸。こんなにぼんやりした冬弥はなかなか見られない。時計はまもなく十一時を示していた。まあ、どうせもうしばらくは休日なのだ。たまにはこんな日だっていいだろう。
「改めて聞くけど、体調は?」
「ああ、問題……、……ない」
訊ねれば、冬弥はこてんと首を傾げて、体を捻って確認しようとする――が、途中でやめて、腰を抑えながら苦い顔をした。
「なんだよ今の間……めちゃくちゃ腰、庇ってるし」
「……すまない、あんなに丁寧にしてもらったのに」
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