Tsulane / Majina (創作)「マジナ。今日"看取る"のはこの人」
「おう。今回も頼むぜ、ツラネ」
草木も眠る丑三つ時。
さわりと優しくそよぐ風が、老人ホームのとある病室の開かれた窓から入ってくる。
真っ白なベッドの上ですうすうと眠るのは、老齢の女性。
その枕元に佇む、二人の青年。
一人はその手に大きな鎌を持ち、もう一人は白い布を手にしている。
───死神だ。
彼らは、死期を迎えた人間の魂を刈る者なのだ。
そして今まさに、刈り取ろうとしていたのだけれど……。
ふいに、白い布を持つ一人の青年──ツラネが口を開いた。
「ねえ、マジナ」
「どしたよ」
「この人、確か親族がいたと思うんだ。
娘さんらしき人が、家族と一緒に毎週お見舞いに来てたけど……」
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