愛を語るには始まったばかり シアにとって、それは敗北を意味していた。どんな状況下でも臆することなく、自分のフィールドで美を証明する。ストレートでスマートな立ち振る舞い。
「今日は、バレンタインらしいですよ」
ああ!なんて美しくない!
*
「あなたって、本当にオクタンのことが好きなのね」
戦場に似つかわしくない言葉を聞いて、シアは横を向く。室内の出入口にフェンスを立て、次のリング内の戦闘に向けて籠城の準備を整えているワットソンは、二コリとしてシアに笑顔を送った。
シアは苦笑する。
「あぁ。まるで忙しなく辺りを走り回って、元気が有り余る子供だなと思いまして」
物資を調達してくる、と言って周辺のサプライボックスやレプリケーターの材料を集めているオクタンの姿をずっと見つめていた。
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