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    雇プト×オク
    裏ではテロリスト組織のシルバ製薬妄想。悪いオクタビオのアースです。
    面接に行った雇われの話の続きです。

    エロ無しキス有り
    ※何でも許せる方向け

    #プトオク
    ptochu
    #雇オク
    hireAuction

    「ここがアンタの住処か。悪くねえな」


     廃車のスクラップ工場付近にポツンとあるトレーラーハウスが俺の現在の家だ。普通の住宅に比べれば小さいが、中に入れば一般的な住居とほぼ変わらない。勿論、外観は洒落た綺麗なものではなく内装にも拘っていないせいで無骨だが、誰かを招く予定もリフォームする気も一切無かった。
     キッチンにトイレにバスルーム。空調も完備していて不便もない。冷蔵庫やレンジなど家電製品も充実し、通常の生活を送るのに全く問題は無く、狭ささえ目を瞑れば快適と言える。ベッドもソファーもあり贅沢なくらいだ。

     彼の言葉が皮肉なのかお世辞なのかは分からないが、オクタビオは朝早くから金持ちにとってはスクラップ紛いに見えそうな俺の住居にやって来た。
     早朝からの来客に眠気まなこを擦りモニターを確認すると、そこに映り込んだ鮮やかなライムグリーンに急速に目が冴え脳が起動した。サングラスにマスク姿の雇い主に驚き携帯端末で予定を確認するが、今日までは完全にオフで間違いはない。
     今日まで、と言うのは、あのイカレた面接に合格した日。流れと勢いに身を任せて、雇い主と高級レストランのテーブルの上でセックスした後……。
     どういうわけか大金と一ヶ月の休暇を与えられた。乱れた髪を掻き上げながら、オクタビオは「一ヶ月間、一生分楽しめ」と告げ去って行ったのだ。
     真意の見えない指示に従いバカンスに行くでもなく、豪遊するでも無く普段と変わらない日々を過ごしていたが、向こうにも予定があるのだろう。相手が相手だ。下手に詮索しない方が得策だと判断した。

     大して気にしていなかったが、休暇最終日の朝にオクタビオ・シルバは現れた。訝しげに思いながらも仕方無しにドアを開けると、招き入れてもいないのに俺を押し退けた雇い主が、カシャカシャと義足を鳴らし侵入する。
     お世辞とも嫌味ともつかない感想を延べ、キッチンを通り過ぎリビングのソファーを見つけるなり腰を下ろした。

    「……何の用だ?仕事は明日からのはずだが」
    「久しぶりだな。コーヒーくらい出せよ?」
    「お前の口には合わないと思うぞ」
    「コーヒーなんてどれもそんな大差ねえだろ。砂糖とミルクでも入れりゃあ全部同じようなもんだ」

     ソファーに背を預け、背もたれに両手を広げてふんぞり返り、我が物顔で寛ぐオクタビオを尻目に湯を沸かす。食器棚からマグカップを二つ取り出し、安物のインスタントコーヒーの粉を適当に入れ沸騰した湯で溶かしスプーンで雑に掻き混ぜる。
     立ち込める良い香りの中、彼の分をソファーの前のテーブルに砂糖とミルクを添えて置いた。

    「どうぞ」

     視界に入れたまま離れ、壁に寄り掛かりオクタビオの横顔を見下ろす。今日はスーツではなくパーカーにハーフパンツという出立ちのせいか、その辺の若者と変わらない印象を受ける。

    「…………」

     キッチンのテーブルに置いていた自分用のマグカップを手に取り口に運び、熱いコーヒーに息を吹きかけて冷ましてから一口啜る。

    「俺が恋しかったか?」
    「ゲボッ、……ゲホッッ!!」

     振り向いたオクタビオに掠れた甘い声と視線を予期せず向けられ、気管に入ったコーヒーに咽せる。

    「……っ……一体何なんだ?」
    「ん?ああ……今日は、」

     言いながらマスクを首元まで下げ、コーヒーを啜ったオクタビオが僅かに呻いて俯き、黒い液体を吐き出した。口から滴るコーヒーが床にポタポタと落ちシミを作る。

    「……んだよ、泥水か!?」
    「…………」

     そこまで酷い味か? もう一口飲んでみるが俺にとっては飲み慣れた愛着のあるコーヒーだ。

    「……ミルクと砂糖を入れろ」
    「やめておく。甘い泥水になるだけだ」
    「泥水を飲んだ事があるのか?」
    「酷ぇ味だって言ってんだよ、この味覚音痴」

     義足を鳴らして立ち上がったオクタビオが俺の前を横切ってキッチンに移動し、勝手に冷蔵庫を開け冷えた缶ビールを取り出した。タブを指に引っ掛けて開け、プシッと小気味良い音が上がる。

    「今日はな、片付けに来たのさ。明日から俺の下で働いて貰う準備みてーなもんだ。商売道具とアンタの宝物を持って来い。行くぞ」

     ビールを煽った雇い主がゴクゴクと喉を鳴らした。まだ残っているであろうその缶をその辺に投げ捨てる。

    「マナーはどうした?……」
    「うるせえな。はやくしろ、置いてくぞ?」

     手をヒラヒラ振るオクタビオが悪びれもせず背を向けたまま玄関に向かった。

    「…………」

     急な仕事だろうか? 説明も無く目的も分からず困惑する。部屋着を脱ぎアーマーを装着し黒いジャケットを羽織った。仕事に欠かせない相棒でもあるドローンを背負い、取り敢えずの準備が済む。デスク上からラップトップと写真立てを取り、先に出て行ったオクタビオの後を追った。

    「おい。いい加減に説明くらいしろ」
    「もっとこっちに来いよ……」

     ドアを出るなり伸びて来た手にジャケットを掴まれ、引っぱられるままトレーラーハウスから離れた。悪戯っぽく上がるオクタビオの口角に、何か期待してドキリと心臓が高鳴る。

    「なに?……キスされるかと思った?」
    「馬鹿言え、」

     雇い主に片手でジャケットの襟を引っ張られ、もう片方の手が俺の唇を親指の腹でなぞり直ぐに離れた。オクタビオの顔が近づいて、互いの唇が触れそうな距離で見つめ合う。
     コーヒーの微な香りとアルコール臭。吐息に誘われるまま、俺は彼の唇に自分の唇を重ねた。一ヶ月前の情事が蘇る体温。柔らかい感触も束の間、僅かな隙間から舌を捻じ込ませてきたオクタビオに口内を舐め回される。

    「ん……ふ、っ……ッん、ぅ」
    「っ!……」

     行き過ぎた刺激の熱を思い出させるには十分に情熱的なキスに、ラップトップと写真立てを芝生に落とす。謎の対抗意識と興奮でオクタビオの後頭部を掌で包み引き寄せ、自分からも舌を絡ませ雇い主の腰を片手で抱き寄せたその時

    ーードォオオオンッ!!!!

     背後からの爆音と爆風を浴びて、オクタビオを地面に押し倒す形で倒れ込んだ。咄嗟に雇い主を抱きしめるように庇ったのと、幸い芝生がクッションになり二人とも体や頭を強打せずに済んだが、芝生に手をつき振り返ると飛び込んできた光景に言葉を失う。
     前触れのない爆発。破壊され吹き飛ばされたトレーラーハウスが見るも無惨な姿に変わり、煙を上げ炎上している。

    「何が、起きた……?」

     起き上がり、見る影もなく大破した住居を放心状態でただただ立ち尽くし眺めた。

    「ロケットランチャーだ」
    「…………何、だと!?」

     混乱する頭を必死に整理する。考えたくはないが「片付けに来た」という雇い主の言葉が頭の中でループする。
     オクタビオは尻を地面についた状態から腰を上げ何事もなかったように立ち上がった。

    「JAJAJA!!鼓膜は無事か?」
    「おい、待て……お前……まさか、」
    「荷物は少ない方がいい。大事な物はちゃんと持って来ただろ?」

     彼を見ればサングラス越しに射るような視線に息を呑む。服の埃をぱんぱんと払いながら、オクタビオが地面のラップトップと写真立てを顎でしゃくった。

    「他に必要な物があるなら与えてやるよ」
    「…………」

     慰めるように雇い主が俺の肩を軽く叩く。
     今更だが、俺はとんでもない選択をしてしまったのかもしれない。あの大金と一ヶ月もあれば、この危険極まりない青年から逃げるチャンスもあっただろう。

    「……なあ。アンタからのキスが合図だったんだぜ?」

     甘く痺れそうな語尾で残酷に告げられ目眩と頭痛に額を押さえる。可笑しくてたまらないと言わんばかりに笑いを噴き出すオクタビオを見て、自分からは絶対にキスをしないと心に固く誓った。
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    DONE雇プト×オク
    裏ではテロリスト組織のシルバ製薬妄想。悪いオクタビオのアースです。
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    ※何でも許せる方向け
    「ここがアンタの住処か。悪くねえな」


     廃車のスクラップ工場付近にポツンとあるトレーラーハウスが俺の現在の家だ。普通の住宅に比べれば小さいが、中に入れば一般的な住居とほぼ変わらない。勿論、外観は洒落た綺麗なものではなく内装にも拘っていないせいで無骨だが、誰かを招く予定もリフォームする気も一切無かった。
     キッチンにトイレにバスルーム。空調も完備していて不便もない。冷蔵庫やレンジなど家電製品も充実し、通常の生活を送るのに全く問題は無く、狭ささえ目を瞑れば快適と言える。ベッドもソファーもあり贅沢なくらいだ。

     彼の言葉が皮肉なのかお世辞なのかは分からないが、オクタビオは朝早くから金持ちにとってはスクラップ紛いに見えそうな俺の住居にやって来た。
     早朝からの来客に眠気まなこを擦りモニターを確認すると、そこに映り込んだ鮮やかなライムグリーンに急速に目が冴え脳が起動した。サングラスにマスク姿の雇い主に驚き携帯端末で予定を確認するが、今日までは完全にオフで間違いはない。
     今日まで、と言うのは、あのイカレた面接に合格した日。流れと勢いに身を任せて、雇い主と高級レストランのテーブルの上でセック 3196

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    _BeHa_

    DONE雇プト×オク
    報酬に釣られボディーガードの面接に行った雇われがオクにテーブルマナーを教わる(教わらない)話。微エロ。
    裏はテロリスト組織のシルバ製薬。悪いオクタビオのアースです。


    ※軽いですが流血モブ死体表現があります
    俺はボディーガードの面接に来たはずだった。

    「頑張れよアミーゴ。あと一人だ、アンタならやれる」

     有名な製薬会社の御曹司。シルバ製薬が裏で何をやっているかも把握していたが、破格の報酬に釣られ気が付けば履歴書がわりに命を差し出すはめになっている。

    「くっ……」

     あくまで表向きはクリーンな有名企業だと完全に油断していた。
     勿論、表立って出された求人では無い。現にシルバ製薬とは違うダミー会社から出されていたこの求人は『簡単な試験と面接』のみだと説明を受けていたが、実際のところ詐欺も甚だしい。
     会場が高級レストランというのもきな臭かったが、面接官の姿を目にして嫌な予感は的中した。
     『オクタン』と名乗り危険なスタントに身を投じるアドレナリン中毒者。シルバ製薬の次期CEOである彼の過激な配信は有名だが、この放蕩息子のイカれ具合も俺の予想を遥かに上回っていた。

    「何してんだ、早く立て!死にたくねえだろ?」

     貸し切られた高級レストランの特等席で、静かに、優雅に、それはそれは上品な仕草で食事する面接官。それを尻目に俺は床を這いつくばり、皺ひとつない白いテーブルクロスを乱さないよう細 3585