オメガバ!ヒヨ(おショタ)ロナ 習作その2前回までのあらすじ!
αヒヨシ(17歳)、二次性徴前でベータ性不明のヒデオ(9歳)!
仲良し兄弟1Kアパート二人暮らし!!
二人は毎日とっても仲良し!!
※
木下ヒヨシはアルファである。
恵まれた体躯、容姿、能力――全てに秀でたその性を持つヒヨシは、
まさにアルファの概念をそのまま体現した様な男であった。
持ち前の要領の良さで、学業や交友関係はそつなくこなし、
周りの女性たちには常にモテてモテて仕方ないくらいモテ散らかし、
更に身体能力においては同年代の少年少女とは一線を画すほど優れていた。
そんなものだから、普通は他者の妬みや嫉みを買っても良いものであるが、
ヒヨシはそちらの方面でも要領がよく、敵を作らない人たらしの天才でもあった。
その為これといった辛い思いをする事もなく、ヒヨシは恵まれた環境で順風満帆な人生を送って来た。
――こと、自分の能力が及ぶ範囲での話であるが。
「兄ちゃん、おかえり!」
早朝。
朝もやが立ち込める中、新聞配達員のバイクと擦れ違う中、ヒヨシは帰宅した。
まだ辺りが薄暗いというのに、ヒヨシがそっとドアを開けると、部屋の奥から軽やかな子どもの足音が聞こえて来る。
「ヒデ。もう起きたんか? ただいま」
「えへへ。そろそろ兄ちゃんが帰ってくるかなって思ってたら、目が覚めちゃった。
大丈夫? 今日はどこも怪我してない?」
「ああ、平気じゃよ」
ヒヨシの腰ほどまでしか背丈のない銀髪碧眼の美少年。
顔を紅潮させて、満面の笑みを浮かべてヒヨシの腰にしがみ付いてくる。
――幼い頃のヒヨシよりも、些か気の緩んだ表情をしているかれこそ、
ヒヨシの八歳年下の実弟・ヒデオだった。
こと、自分の能力の及ばない範囲――運命だとか。
そういう、自分の努力ではどうしようもない部分で、ヒヨシは両親をうしなった。
たったひとり残された弟・ヒデオが、今のヒヨシのたった一人の家族である。
周囲の良識ある大人たちは、二人のこれからの生活のことをあれこれ言ったけれど、
そこから先は、ヒヨシの自分の能力の及ぶ範囲である。
彼らをきちんと納得させたうえで、ヒヨシは高校を中退して自分が吸血鬼退治人として働き、ヒデオを学校に行かせて――二人きりで生きていくことを選んだ。
この1Kの和室のアパートの1階の部屋が、ヒヨシとヒデオの二人だけの城だった。
「平気じゃが、あちこち走り回ってどろどろじゃ。風呂入って、朝飯食って寝るかな」
「おれも!おれもおふろ一緒に入る!」
「おう。いいぞ。お湯張ってきてくれ」
「はーい!」
元気の良い返事をして、ヒデオが風呂場へと走っていく。
その後ろ姿を見送って、靴を脱ぎ部屋に上がると――奥の和室に敷かれた布団の上に、
これでもかとヒヨシの洋服や下着がこんもりと積まれている。
どうやら、またヒデオの『寂しがり病』が出たようだ。
ヒヨシはやれやれと肩を竦めて言った。
「ヒデ~。おみゃあ、まーた兄ちゃんの洋服を布団代わりにしてたな」
「うっ……、ご、ごめんなさい……。だって、兄ちゃんの匂いがするから、なんか安心するっていうか……」
「全く、困ったヤツじゃな。おみゃあ、前世はビーバーだったんじゃないのか」
風呂場から、どどど、と水音がする。
弟に声をかけると、かれは気まずそうな顔をして部屋へと戻り、そう言った。
ヒデオのこの奇癖は、このアパートに二人で暮らし始めて、しばらく経った頃から始まったものだ。
元から何かにつけてヒヨシにくっつきたがる甘えたではあったが、
二人で暮らす様になり、ヒヨシが仕事で不在の時に、時折こうしてヒヨシの衣服を布団代わりにして眠ってしまうのだ。
まあ、減るものでもないので、衣服を布団代わりにされるのは、この際良いとして。
「使うなとは言っとらん。出したものを、後からちゃんとしまえと言っとるんじゃ。
出しっぱなしのだらしない子はオヤツ抜きにするぞ」
「ご、ごめんって! だってまだ兄ちゃん帰ってこないって思ったんだもん!」
「ほ~う? ……ま、今回はそういう事にしちゃろ」
ヒデオは素直で、ヒヨシの言う事をよく聞く聞き分けの良い子であったが、
いささかだらしのないところがある。
何度言っても脱いだあとの靴下を丸めたまま洗濯機に入れるし、
ランドセルの中にプリントが圧縮されて詰め込まれてしまったり。
給食当番の割烹着を、月曜日に洗濯を終えて持っていかなくてはいけないのに、
うっかり忘れて月曜の朝を迎え、慌ててヒヨシがお急ぎコースと乾燥機能を使い、
ギリギリで間に合わせた――など。
その手のエピソードは枚挙に暇がない。
「そ、そうして、そうして! ほら、そんな事より風呂!はやく一緒にはいろ!」
小言が本格化するのを誤魔化すようにヒデオが笑って、ヒヨシの背を押し脱衣所へと押し込む。
かくしてヒヨシはわざとらしくため息をつき、肩を竦めて、ヒデオに誤魔化されてやることにした。
何だかんだと言いつつ、ヒヨシはこの弟にべた甘で、彼にめっぽう弱いのである。
さて、脱衣所でお互いに服を脱ぎ、一緒に浴室へと入る。
軽く体を流して洗ってから、二人一緒にそう広くはない湯舟へと入れば――湯の量そのものは大して必要はなく、効率的であった。
弟に後ろを向かせ、背中から抱っこしてやる様にすると、弟がきゃらきゃらと嬉しそうに笑って、ヒヨシに体重をかけてくる。
小さなつむじに「うりゃ」と言って顎を乗せると、「くすぐったいって!」と弟が声をあげて笑った。
新横浜は吸血鬼が多く出没する地域だ。
仕事に困らないとはいえ、夜通し走り回っていれば疲れもする。
温かい湯に浸かって、腕の中の柔らかな幼子のからだを抱き締めて、ほう、と息を吐くと、張り詰めていた緊張がほどけてゆく気がした。
「(ヒデオのことをあれこれ言えんなあ)」
ブランケット症候群であったか。
――ヒヨシの洋服に囲まれていないと、安心できないヒデオと。
――ヒデオを抱き締めていないと、息を吐くことができないヒヨシと。
どちらも似たようなものかも知れない、と、ヒヨシはヒデオに自分の顔が見えていないのを良い事に、自嘲気味に笑った。
――と、その時だ。
ふわりと、何やら甘い香りがして、ヒヨシはぱちりと目を瞬かせた。
「? おみゃあ、何か入浴剤でも入れたか?」
「ううん。えっ、これ兄ちゃんが入れたやつの匂いじゃないの?」
「俺か? 入れとらんぞ。うーん、なんか甘い匂いがするのう……」
すん、と鼻を鳴らして匂いを嗅ぐ。
――甘く、柔らかい、煮詰めたミルクの様な優しい香りだ。
体を浸す湯を手で掬い、鼻を近づけるが、どうやら匂いの発生源はここではないらしい。
「甘いかなあ。おれは、なんかスースーする匂いだと思うけど」
「スースー?」
「チョコミントみたい」
「おみゃあはチョコミントのアイス、好きじゃもんなあ」
「大好き! ……あっ、これお湯じゃなくて兄ちゃんだよ。
兄ちゃんからスース―する匂いする」
「えぇ? 今日はなんも着けとらんし、さっき体洗ったばっかりじゃぞ」
「んふふ、良い匂い。おれ、この匂い好きだな」
弟が笑って、くるりと体を反転させ、向かい合うかたちでヒヨシの胸元に顔を寄せた。
ちゃぷ、と湯の表面が波打ち――温まった柔らかな肌がぴったりとくっ付けられる。
どこかうっとりとした面持ちで頬を寄せる弟に、ヒヨシは自然と笑みを浮かべてその体を抱き締め、頭を撫でてやった。
――八歳年下のこの弟は、元々兄思いであったが、こうして二人で暮らす様になってから、なおの事甘えたになった。
特に夜は、吸血鬼退治人としてヒヨシが外出している分、寂しいのだろう。
二人で暮らし始めてから出来た習慣のひとつが、この朝風呂だ。
こうして朝風呂に一緒に入ると、決ってこうして引っ付いてくるのだ。それがヒヨシにとっては、堪らなく可愛らしく感じられて、何とも幸せなひとときであった。
とはいえ。
「……ヒ~デ♡」
「ひゃうっ!?♡」
ただ引っ付いているだけでは、ヒヨシには物足りない。
弟の柔らかな背中に、つ、と羽根で触れる様に優しく撫ぜてやる。
今までとは明らかに違う意図を滲ませて触れると、ヒヨシの意志を正しくくみ取った弟は、
ヒヨシにくっついたまま、「んっ…♡」と、甘やかな声をあげた。
顔が赤らんでいるのは、湯に浸かり血行が良くなったせいか、それとも――ヒヨシのいたずらのせいか。
「あ♡ にいちゃ…♡」
「ヒデ♡ そのままいい子にしてろよ♡」
弟が顔を上げる。お揃いの青色の瞳に、戸惑いと――微かな期待の色が滲んでいる。
ヒヨシはそれに気を良くして、弟の体を抱え直して、鼻先の高さが合う様に持ち上げてやる。
湯の浮力もあり――思った以上に簡単に弟の体が持ち上がる。
ヒヨシは顔を傾けて、弟の唇に自分のそれを重ねた。
浴室の中にちゅ、ちゅっ、というリップ音と、水滴が跳ねる音が反響する。
心地よいそれを聞きながら、まだ幼く薄い唇に舌を差し込み、掬い上げる。
「んぁっ♡ あふ、ぁっ……♡ んんっ♡」
小さな咥内に舌を差し込むと、弟は従順に口を開けてヒヨシを招き入れる。
短い舌が必死にヒヨシのそれに絡み付こうとしては、ぬるりと絡めとられ、
唾液ごと吸いあげられ――ヒデオの腰が戦慄いた。
まだすべて生え変わっていない、乳歯と永久歯の混ざった歯列を、ざらりと舌で舐めあげてやると、ヒデオが「んんっ♡」と鼻の抜けた声をあげる。
それが可愛らしくて、面白くて、ヒヨシは何度も歯列を舌先で舐めて、溢れる唾液を飲み下してやった。
ヒヨシよりも随分小さな柔らかい少年の手が、縋りつくようにヒヨシの首に巻き付く。
薄い胸と腹、まだ下生えもない滑らかな股間と、精通すら迎えていない幼稚なペニスが、
ヒヨシの引き締まった体に押し当てられる。
じくじくと下腹部に熱が灯り、口づけに夢中になっている間に、気付けばすっかりヒヨシのペニスは勃起してしまっていた。
「ぷぁ……♡」
「ヒデ、大丈夫か? 苦しいか?」
「んんっ……、苦しくはないけど、またお腹がじわじわする」
「そうか。兄ちゃんもじゃ。それじゃ、いつもの触りっこするか」
「する♡」
好きなだけ咥内を味わってから、ようやっと唇を開放してやると、互いの舌先を唾液が糸を引いて千切れた。
飲み下しきれなかった唾液が、弟の唇の端から垂れているのを指で拭ってやり、
ヒヨシが訊ねると、弟が頷いた。
良い返事だった。
ヒヨシの与えるものを、これっぽっちも悪いものと疑っていない。
その無垢で、純粋で、自分にだけ向けられる真っ直ぐで混じりけのない信頼と、親愛と、
それとは不釣り合いな淫らな情欲の滲んだ瞳が、ヒヨシの性感を煽るのだ。
ヒヨシは舌なめずりをして、弟の腰を掴み、優しく湯舟の中に降ろしてやった。
あぐらの姿勢で向かい合い、まだ兆すことすら知らない無垢な弟のペニスを握り込んでやる。
手のひらにすっぽり収まってしまう柔らかな弾力を楽しんでいると、弟がびくんっ、と体を大きく断続的に跳ねさせた。
「あっ♡ あっ♡ にいちゃん……っ♡」
「ふふ、気持ちよさそうじゃな。兄ちゃんのも触ってくれ」
「うんっ……♡」
ヒデオの幼いそれとは真逆の、すっかり固くなったヒヨシの大人のペニスを、
ヒデオの小さな手がそっと挟みこむ。
きゅ、と絶妙な力で握りこまれ、それを上下にしごき上げる。
拙いそれは、お世辞にも上手い手管とは言えなかったが、
何より愛しい弟が自分にこんなことをしてくれているという事実が、
堪らなくヒヨシを興奮させた。
ぱしゃ、ぱしゃと二人が手を動かし、身じろぎする度に湯舟の湯が跳ね、
どちらのものとも分からない荒い呼吸の音が、狭い浴室に響く。
「あんっ♡ あっ♡ に、にいちゃ♡ あっ♡ ちから、ぬけちゃうぅ♡」
「おう、いいぞ。にいちゃんにくっついとけ」
「うんっ……♡」
正面に向かい合っていたヒデオが腰を浮かせて、倒れ込むようにヒヨシの胸板にぴったりと体を寄せる。
股間を揉む手は動かしたまま、「よしよし♡」と言って、そのつむじにキスをしてやると、びくんっ♡と分かりやすくヒデオの体が跳ねて、湯の飛沫が飛んだ。
まだ自慰の概念すら知らないこの子に、手淫を教えてやったのは、このアパートに移り住んですぐのことだった。
ヒヨシの手によって未成熟な体の性感を無理矢理目覚めさせられ、
産まれて初めての快感に翻弄されながら、初めての絶頂に体を震わせていた姿は、
今も忘れられない。
可哀想に、まだ精通すら迎えていないからだは、無理に起こされた快感を、
射精という正しい男の体での絶頂に辿り着くことも出来なかった。
――ヒデオの初めての絶頂は、兄の手で導かれたオーガズムによるものだ。
それを思うと、自然と口元が綻んでしまう。
(可哀想で可愛い、可愛い俺のヒデオ。俺だけのヒデオ。
――全部兄ちゃんが教えてやるからな♡)
小さな手が懸命にヒヨシのペニスを扱き、射精を促そうとやわやわと袋を揉み込む。
これもヒヨシが教えたものだ。ヒヨシの教えを忠実に守ろうとする弟は、
断続的に「あんっ♡」と嬌声をあげ、快楽に腰をくねらせながら、男のペニスを扱く。
「あっ♡ あっ♡ にいちゃんっ♡ おれもう、もうっ♡」
「いいぞ、イけ。イッちまえ♡」
「あ、あ、……♡ あぁんっ♡♡♡」
きゅ、と強くちいさなペニスを揉み込んでやると、
弟がびくん、と大きく体を震わせて、体を強張らせ、甲高い声を上げて絶頂を迎えた。
くた、と脱力してヒヨシにしなだれかかる弟に、ヒヨシは苦笑した。
ヒヨシのペニスを扱いていた手は、最早申し訳程度に触れられているだけだ。
しかし、今のヒデオにこれ以上を求めるのも酷だろう。
「どれ、じゃあ兄ちゃんも……」
「ん……♡」
ヒヨシは浴槽の縁に手を突いて、湯舟から立ち上がる。
弟の手で扱かれたペニスは腹にくっつきそうな程にそそり立っており、
あとほんの僅かの刺激で射精するところだった。
ヒヨシは射精寸前でお預けを喰らった自分の肉棒に手を添え、弟の眼前へと向ける。
弟は絶頂後の余韻でぼぅっとしたまま、どこか蕩けた眼差しでヒヨシのペニスを見つめていた。
その弟の顔の前で何度かいきりたった肉棒を擦ると、腹の底から熱が真っ直ぐに上ってくる。
その勢いに抗わずに、ヒヨシは「ぐぅ…っ♡」と低く呻いて、射精した。
「んっぶ、……ぷあ♡」
ヒヨシの勢いよくあふれ出た精液がそのまま、目の前の弟の顔へと注がれる。
長い射精の間、弟は目を閉じてうっとりと自分の顔に精液を注がれるのを受け止めていた。
どろりとした白濁は小さな顎を伝い、胸元まで垂れて落ちている。
幼い顔立ちと肉体に、むせ返るような性の臭いのする精液がひどくアンバランスで、
一度吐出した筈の熱が微かに腹のうちに灯ってしまいそうになる。
最後に残った分の精子を軽く扱き、きちんとすべての種を弟の顔にかけて終わると、
弟は嬉しそうにはにかんで、顔にかかった精子を指で掬い、口に運んだ。
「へへ、苦い。変な味」
「んん~? 嫌いか?」
「んーん。にいちゃんのだから、いいの」
くすくすと弟が楽しそうに笑って、湯舟の湯を掬って顔を洗う。
最後は二人で体を洗いっこして、(その間に何度も二人でキスを交わして)湯舟の掃除も二人で行い、一緒の布団で体を寄せ合って朝寝をすることにした。
(ヒデオには今日は学校を休ませることにした。多少のずる休みくらい、どうとでもなる。)
もう風呂は上がった筈なのに、甘く柔らかいミルクの匂いがいっそう濃くなった気がした。
けれどそれは決して不快な臭いではなく、とても心地よくもっと嗅いでいたいと思うような、良い香りであった。
(弟はチョコミントの匂いが濃くなった、と言っていた。)
まだ乳歯も生え変わっておらず、声変りも精通も迎えていない弟は、
もちろん第二の性など発現していない。
将来はヒヨシと同じアルファの性が目覚めるのだろうか。
それともべータか。確率としてはいちばんこちらが高い。
或いは――オメガか。もしオメガなら、最高だ。
オメガであれば第一の性、男女のそれに囚われることなく、子を孕み産むことができる。
それはとても素敵で、素晴らしいことだった。
「(オメガだったらいいなあ)」
常日頃から、「おおきくなったら兄ちゃんとケッコンする!赤ちゃんはね、女の子がいいな」などと公言し、憚らない弟である。
かれの望みなら、なんだって叶えてやりたかった。
かれの喜ぶ顔が、ヒヨシにとっての何よりの喜びなのだ。
とはいえ、まあ、なんにせよ。
この子の性別が何であれ、将来何の仕事をするにせよ、かれが健やかに、幸福であってくれるなら何だって構わないのだけれど。
もしもこの子の幸せと、自分の望むものが、今のようにこれからもずぅっと同じかたちをしていたらいいなあと、そんな願望の話というだけである。
甘く心地よい香りに誘われるまま、本当は弟の全身を舐めてしまいたかったけれど、
また風呂に入り直すことになるのも大変なので、ヒヨシは我慢した。
すっぽりと自分の腕に収まってしまう小さな弟の体を抱きしめてやると、言い表しようのない安心感を覚える。
ヒヨシは満足げに微笑んで、そのまま甘やかな眠りに落ちていった。