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    Satsuki

    短い話を書きます。
    @Satsuki_MDG

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    Satsuki

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    FEHのユーリスたちがわちゃわちゃはなしをしているだけのレトユリレト匂わせただの散文。うちには三人しかいませんが二人がたくさんいるアスクではえらいことになってそうですね……💚💜

    「……で? 俺様を呼び出した要件は何なんだよ?」
     偉そうに足を組み、ユーリスはカップを傾けた。ベリーの甘い香りが鼻から抜け、期待を裏切らない瑞々しい果実の味がほんのりと舌に乗る。このアスクにも、フォドラと同じような種類のベリーがあるのだと、興味がそそられた。しかしこの地も戦禍の真っ只中。茶葉だってそう簡単には手に入るまいに、この男はどうやってこの茶会セットを入手したというのか……ユーリスは、目の前に座る男……他でもない、ユーリス=ルクレールを懐疑的な眼差しで見つめた。
    「ああ、俺もそれが気になっていたところさ」
     隣に座っていた男も、この茶会の意図が気になるらしい。彼、そう……ユーリス=ルクレールもカップを置くと、テーブルに行儀悪く肘をついてユーリス=ルクレールのことを見た。
     ……つまり、今この部屋には、三人のユーリス=ルクレールがいるのである。
    「……つーかよ、同一人物が何人も召喚されてる状況だってことは認めざるを得ねえが……俺たち、なんて呼び合えばいいんだよ」
    「う〜ん……昔の名前でも使うか?」
    「やめろ。ベルナデッタが余計なこと思い出すかもしれねえ」
     ユーリスたちはしばらくやいのやいのと言い合っていたが、じきに賽の目で決めることにしたらしい。結果、一番負けがユリー、二番負けがルーク、勝ちがユーリス、となった。
    「で、なんだっけ?」
    「そうだ、まさかこんなことのために俺たちを集めたわけじゃねえよな?」
     ユリーとルークにじろりと見られ、ユーリスはサイコロをしまうと、ちょっと周りを気にするそぶりを見せた。なんとなく、三人は顔を寄せ合う。
    「ここだけの話、お前ら、先生とはどこまで行ってんだ?」
    「……!」
     ユーリスの真剣な顔に対して、ルークは途端に呆れたような表情になった。
    「なんだよ、お前まさかまだ支援Sまで行ってねえのか?」
    「ちげえよ!」
     ユーリスらしからぬ声に、ルークはだははと笑って膝を叩く。
    「まさかまだキスもしてないとか?」
    「なっ……や、やっぱりお前ら、先生とそういうことを……!?」
     ユーリスの慌てぶりに、ルークとユリーは顔を見合わせてフッと笑ってみせる。
    「いや、全く進展してねえ」
    「お前、相手を誰だと思ってんだ? あの先生だぞ?」
    「だ、だよな?」
     ほっとしたが、それはそれで寂しい報告だ。三人の間に、少しばかり沈黙が流れる。
    「……で、そんなことを聞いてくるってことは、そっちは何か動きがあったってことかよ?」
     ルークの言葉に、ユーリスは気を取り直してまた声を潜めた。
    「実は……」
     ユリーとルークがまたも顔を寄せる。
    「最近、宿屋で……一緒に寝よう、って誘われるんだ」
    「おお、いいじゃねえか」
    「言っとくけどそれ、マジで寝るだけだぞ」
     俺はそうだった。と、ルークは遠い目をしている。
    「続きを聞けって。実はこの前、一緒に寝てみたんだよ」
     ふむふむ、と、興味深げに二人が頷く。ユーリスはそのまま続けた。
    「そうしたら、後ろからこう……抱きしめられて」
    「なんだと……!?」
    「そっちの先生は積極的だな……!?」
     羨ましそうである。どうやら二人も先生の鈍感さに振り回されているようだ。
    「それが……それ以上は全く何もして来なかったんだが……」
    「なーんだ」
    「やっぱそうだよな」
    「けどな……先生の俺を抱く手がさ……こう、なんつーか……指先が……」
     的確に、俺の乳首に触ってくるんだよな……
     三人の間に、再び沈黙が流れた。
    「触ってくるっつーか、こう……指のとこに乳首があるっつーか……わかるだろ?」
    「あ〜〜〜……それは……」
    「なんつーか……偶然っつーか……」
    「だろ!? 迷うだろ!? 誘ってんのか天然なのか分からねえんだよ!!」
     しかもずっと抱きしめてくるからこっちは変な気分になってくるし、後ろからは安らかな寝息が聞こえて来やがるしよお!!
     ダンっ、と机を叩き、ユーリスは嘆いた。普通は支援Sまで行って同衾し、抱きしめられようものならその先に起こることは決まっている。しかし相手は先生だ。あの、傭兵上がりの教師、ベレトその人なのだ。
    「え〜〜とだな……」
    「そりゃもう、こっちからいくしかないんじゃね?」
    「そうだよな……クソッ……」
     俺様としたことが、こんなつまらねえことで悩む羽目になるとは……!
     下を向いてしまったユーリスに、ユリーは「まあ、相手はあの先生だ、諦めるんだな」と慰めの言葉をかけてやる。「先生って、意外と初夜とか大事にしそうだから、こっちからセッティングしてやった方がいい気がするよな」と具体的なアドバイスをくれたのはルークだ。
    「お前ら……」
     ユーリスは異界の自分自身が一緒に悩んでくれることに感謝した。が、腹の中ではもちろん探り合いの真っ最中だ。
    (こいつらより先に、先生と……!!)
     そう、三人が三人、それぞれの相手との関係に悩んでいるのである。お茶を飲み干し、三人はニヤッと笑みを交わし合う。
    「もう一杯どうだ?」
    「いただくよ」
    「この菓子うめえな」
     当たり障りのない会話をし、笑い合う。今夜、自分の相手を押し倒すのは、どのユーリス=ルクレールだろう。そして、それが成功するのかどうかは……まさに、アスクの神のみぞ知るところである。
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