再愛「なあ、アルハイゼン。生まれ変わったら他人がいいし、もう二度と君に会いたくない」
そう告げたカーヴェの顔は思わず見蕩れてしまうほどに美しく、綺麗だった。
首から下は焼け焦げ、赤黒い血が滲み、意識を繋ぎ止めている方が奇跡だと思えるほどだった。
握った掌から徐々に温度が失われて行く。
もう、長くは保たない。そう察するには十分過ぎるほどの出血量だった。
「ああ、そうだな。君を幸せにすることも、満足に愛することも出来なかった俺とは──もう、出会わない方が良い」
淡々と紡がれる言葉。しかしそこに籠められた想いは、まさに悲願に近しい。答えを聞いたカーヴェは最期に満足気に微笑み、その短い人生を全うした。
そしてそれを見送ったアルハイゼンもまた、自身の胸部を深々と貫く瓦礫の破片による失血によって、間も無く命を落とした。
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