ズキズキと痛む足先に、アステルは新しい靴を履いてきてしまった事を後悔していた。歩いている最中にすでに違和感があったが、先ほど出くわしたモンスターとの戦いの最中に、靴の中に砂が入り込んだのが決定打となったらしく、靴擦れを起こしてしまっているようだった。
今日はスカーともに、森へ薬となる野草を採取しに来たのだ。二人きりでの外出に浮かれた気分がなかったと言えば嘘になる。スカーが女性の身に着けているものに頓着する性格ではないのはわかっていたが、それでも自分を少しでも可愛いと思ってもらいたいという欲目を出したのが原因だと思うと、アステルは自分が情けなくて泣き出したい気持ちになった。いつも履いているものよりヒールが低い靴だから歩きやすいだろうと、ろくに試し履きもせずに来てしまった。
靴に飾られたリボンをが揺れているのが、自分の浮ついた気持ちを表しているかのように感じられる。
「……少し休めば回復しますから、先に行っててもらってもいいですか?」
木の根に腰掛けたアステルは、難しい顔をしたスカーに、そう声を掛けた。目当ての薬草が自生しているという目的地まではまだ距離があり、ここで時間をとられていては、日が暮れてしまう。