世界が終わるとしたら 深夜二時、眠れなくて傑の部屋にゆくと、彼は俺が実家からの土産だと渡したティーカップを片手に、優雅に文芸雑誌を読んでいた。彼の好みは知らないが、そんなに趣味がいいものでないことは察しがつく。いや、今はそんなことどうでもいいな。きっと眠っていると思っていたのに、彼が起きていて、恋人が起きていて、俺はそれが嬉しいのだ。
「なんで起きてんの?」
「それはこっちの台詞。私は今日の仕事で疲れてかえって眠れない、からかな」
傑はそう言って額をかいた。今日の任務は確かに疲れた。精神的にも、肉体的にも。これについては今度話すことにしよう。あまりにもな事件だったから、俺の中でもまだ整理がついていないので。
「俺にもそれちょうだい」
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