アイスクリーム まとわりつくような暑さが鬱陶しくて顔を顰めた。7月に入り暑さは本格的だ。この間まで梅雨だったはずなのに、気づけば雨雲はいなくなって、高い空に燦々と太陽が輝いている。夏は嫌いじゃない。しかし、最近の猛暑は異常だ。限度ってものがあるだろ。
通い慣れた事務所への階段を駆け上がると、少し歩いただけでも肌着はびっしょりと汗を吸い込んでいた。早く、早く涼しい場所へ。誰かしらいるよな? プロデューサーとか。
事務所の扉を開くと案の定、涼しい風が吹き込んでくる。生き返った。
「おはようございます」
挨拶をして辺りを見回すが誰もいない。あれ、プロデューサーがいると思ったんだけど。肌に張り付いた服の間に冷房の風を取り込むと涼しいを超えて冷たい。そのうち待ってれば誰か来るか。デスクの上にはプロデューサーが作業をしていた形跡があった。
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