創造「なあスノウ」
「なんじゃホワイト」
我の周りをくるくると回りながら楽しげに笑っているホワイト、何が楽しいのか何も分からないがホワイトが幸せならそれで良い。名前を呼ぶ度にくすくすと笑い我の手を握り2人でくるくる回っている、2人で何をしているんだが不思議でたまらない、この行為になんの意味があるのか検討もつかないが暇なのでホワイトの余興にでも付き合ってやろうとダンスを踊るようにステップを踏んだ。
「なあスノウ」
「なんじゃホワイト」
「孤独は良いものか?」
一瞬で場の空気が凍りつく、何故それを今更問うのか、何故聞こうと思ったのか、何故、何故、何故
我はその場で立ち尽くした、ホワイトは未だ我の周りをくるくると周り笑っている。愉快に、ただ愉快に。
我は後悔している、ムルの言葉に魅了され片割れであるホワイトを自らの手で殺してしまったことを。あの孤独はもう二度と味わいたくない、何も良いことなんてない。対であった、双子であった、ホワイトを失った恐怖と孤独は我に耐え難い痛みとして襲った。
そのことについては話したはずだ、和解はせずとも心の中では恨んでいたとしても包み隠さず当時のことを話した。ホワイトをもう二度と失わないために魔力の大半を使ってホワイトをまたこの世に顕現させた。何が、何がホワイトをそうさせるのか何かに怒っているのだろうか、我はわからない。あの時までは手に取るようにお互いのことが分かっていたのに、何を考えているのか、どう思っているのか、もう何も分からない。
「答えよスノウ、孤独は良いものか?我を亡き者にして手に入れた孤独は甘美なものだったか?」
「…そんな訳なかろう。耐え難い痛み、ただひたすらに喪失感や虚無感に苛まれるだけじゃ。
この話はうんと前にしたはずじゃホワイト、忘れたとは言わせん。」
「そうじゃったかのう」
手を顔に当てうーんうーんと考えるポーズを取っているホワイト、もはや本当にホワイトなのであろうかと疑ってしまう。今まで一緒にいて違和感を感じたことがないのに今日のホワイトは何かが違うように感じる。亡くなってからも同じ時を一緒に過ごしていたはずなのに記憶の中と今のホワイトが一致しないのは何故だろうか。
「お前は本当にホワイトなのか?もし、偽物なら幻影風情が我のホワイトを騙るな」
「幻影とは面白い、まぁ我はスノウの作りだした幻みたいなものじゃからあながち間違いではないのう」
くすくすと笑いながら未だ我の周りを飛んでいるホワイト。我の作りだした幻、孤独に耐えきれず自らの手で葬ったホワイトを自らのエゴで創り出した。でもそれは違う、幻なんかでは無い、ホワイトはホワイトであり幻影なんかじゃない。
何もしていないのに呼吸が乱れる、上手く肺に酸素が取り込めず胸が苦しい。どうしてこんなにも苦しいのだろうか、どうしてこんなにも辛いのだろうか。違う違うと頭の中で何かを否定する、なんだか吐きそうだ。
「なあスノウよ
我は本当にホワイトなのか?お前が望んで創り出した思念体ではないのか?我はもうわからんよ、どちらなのか判断がつかん、もう死んでるおるからのう」
どこか寂しげに