「ねえ宮瀬。俺の身長って、体作るときにもうちょっと伸ばせたりしない?」
「また死ぬ前提の話しないでくれない?伸ばせねえよ」
ちょろちょろと学区外なのにやたら顔を出すようになった夏油傑(9歳になったらしい)の行動力を面倒に思いながらも、俺は投げやりに応える。ソファに座って情報収集用の新聞を広げているため、ねえねえと俺を揺する夏油傑に、若いお父さんと息子みたいになっている気がするが考えないことにした。そもそも子供がいる歳じゃねえし。こいつが厄介だしそろそろ引っ越すか、と思いながら、下手に目を離せないのでジレンマを抱えている。
「ねえ宮瀬。稽古してよ」
「お前本当にツラの皮厚いな」
「だって相手が宮瀬だからね」
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