悪党番 登録名メモリの記録小さなホワイトノイズの向こうで軽やかな笑い声がする。それだけを聞けばまるで公園かどこかのようだが、実は違う。小さなボイスレコーダーがこれから流すのはある拡正義が秘密裏に録音した悪党番の声。合間見えた拡正義曰く、その悪党番の様相はわずか10歳に満たない少女のようにみえたそうだ。
…こんにちは。
わたしね、あなた達に聞きたいことがあったの。やっと会えたから、わたしに教えてくれる?
ねぇ、どうしてわたしを助けてくれなかったの?
わたし、がんばってぎゅってしてた。おかあさんが大きなお声でわたしを怒ったときも、おとうさんが大きなお手手でわたしをぶったときも。ずーっと思ってた。だれかたすけてって。
あのね、おかあさんとおとうさんが大きな声を出すときは…出さない日は、あんまりなかったけど。うでと足をぎゅってしておいのりするの。早くおわりますようにって。
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