色、温度、形、匂い、感触。イメージして、音にして、届けたい。
側に居ない時間も想っているだけで楽しい。嬉しい。そんなレオの溢れそうな笑顔が辺りに幸福感を伝えていた。
漫画描写の様な虹色のシャボン玉がレオの周りにふわふわと浮かんで見える位レオの居る場所だけ明らかに柔らかなオーラに包まれていて迷子の猫を探すように歩いていた嵐は直ぐにレオに気が付いた。
「あら?レオくんたらこんな所に居たのね?」
想像と音楽の世界に浸っていたレオに朗らかな嵐の呼び声が聴こえてレオはハッとしてきょろきょろと辺りを見回した。
作曲に集中し過ぎていたせいで意識を現実に戻すのに少し時間を要する。
レオが居たのは空中庭園の隅っこ。木の陰に隠れるようにしてうつ伏せに寝転がっていたのだが、確かな存在感を放っていた。
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