石蒜ちくりと肩が痛んだ。
「痛っ。なんだこれ」
触れると肩から何かが生えている。手に当たったそれを魏無羨は躊躇いなく引きちぎった。
「花?」
優美な曲線を描く細い花弁が手の中でぐしゃりと潰れていた。
何かの呪いかとも思ったが、温情によるとどうやらそういう体質らしい。
「花が咲くってどんなだよ」
思わずごちる。
「珍しい症例で、なんでもその花は特定の人間には蜜の様に栄養が高く美味しいらしいわよ。滅多にいないらしいけれど。後あなたの場合屍にもごちそうの様ね。」
眉を寄せた温情の視線の先を振り返れば、花の香りに誘われたのか配下の凶屍がふらふらとこちらへ歩み寄ってくる。手に持った花を左右へ振れば右へ左へとふらふらと向きを変えた。
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