三話 白い少年と深緑の配達員 二十分ほど私は異形や男たちに警戒しながら歩き続けた。短い時間のはずなのに、精神的負担が大きいのかひどく疲れてきた。空もだんだんと暗くなっていっている。早く大通りに出て家に帰らないと、異形が増えていく。
今まで歩いていただけでも、ちらほら異形の姿を見た。幸い、私を追っている角ありの異形ではなかったけれど、油断は禁物。いつ襲い掛かってくるかわかったものではない。
壁にもたれかかって地面に座り込む。周りはやや背の高い建物が立ち並び、人気はない。丁度西日が入って地面は今オレンジ色に染まっていた。
「はぁ……」
何度目かのため息をつく。今日はことごとくついていない。路地裏に入ったのは自業自得だったとしても、それ以外は運がなかったとしか言いようがない。
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