ハイドアンドシーク【Eastern country】
東の国の首都、雨の街。法典によって定められたルールによって、ありとあらゆる不愉快なことから切り離された街の住人たちは、がんじがらめの日々を今日も慣れた素振りで過ごしている。
彼らはわかっていてルールを守らない者に対しては厳しいが、何も知らない余所者に対してはそう厳格なわけではなかった。
現に今、街の一角では、きょろきょろと困ったようにあたりを見回す青年を、住人の一人がそっとルール無用の店の中へと誘導している。
──ああ、急に連れてきてしまって申し訳ない。この街では初対面の相手に公共の場で話しかけるのは禁止されていてね。店の中は店主がルールを決めていいことになっているから、此処では私語が禁止されていないんだ。
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