無題「は!?お前ふざけんなっ」
人もまばらな駅のホームで思わず素っ頓狂な声をだしてしまった。ちょうど電車を降りたその時我が愚妹から電話がきた。久方ぶりの帰郷だというのに俺は怒りで胃の中がふつふつと煮えたぎるのがわかった。
まばらとは言っても同じようにホームに降りた乗客がちらちらとこちらを窺っている。
『だっておにーちゃんこうでもしないと会ってくんないでしょ!?』
「誰が会うかお前の彼氏なんかと!」
バーカバーカ!とアラサーとは思えない悪口を連発していると、呆れた弥生に後ろから肩を叩かれた。
「落ち着け、言い過ぎだ。色々と」
「……とりあえず!俺が行くまでにそいつ帰らせとけ!」
苛立たしく舌打ちをして通話を切ると、弥生がじっとこちらを見ていた。
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