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    kubigurui

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    序章部分

    教探♀新刊しんちょく エウリュディケ荘園は未知と不思議で満ちた場所だ。そこに招待された客人達も人種・職業・性格もバラバラ。しかし、各自の目的をもってこの場所に訪れた。それを達成するためには、荘園の主が主催する宝探しゲームに参加する必要がある。ハンター1人とサバイバー4人による鬼ごっこ。しかし、その内容は名前に反して悍ましいものだ。

     ゲームは定期的に開催される。しかし、閉鎖された場所で長期間過ごしていれば人間は精神と肉体に異常をきたすようになる。そこで主は協力狩り、ブラックジャック、悪夢の影など気晴らしになるよう多種多様なゲームを用意した。それらは確かに通常のゲームとは違うスリルと楽しさがあり、彼らの気晴らしに一役買った。だが、誰かがこう零した。

    「もう少し、ゆっくりできる環境が欲しい」

     遊戯となるとどうしても競争や順位付けが付きまとう。争いごとが苦手な者達は、ゲームと無縁な場所を欲しがった。ならばと、荘園の主はどんな方法を使ったのかわからないが、争いもゲームもない【公共マップ】を作り上げた。そこは交流がメインで簡単なタスクしかこなせない場所だ。しかし、季節によって内容も展示物も移り変わるので、日頃のゲームで疲れ切った参加者達の心を確かに癒した。どういう原理か知らないが、様々な荘園の客人達が一堂に会せるという点も人気の理由だった。試運転のつもりだった公共マップはあっという間に常設化し、なくてはならないイベントとなった。

     さて、このたび新しく【クレイバーグ競馬場】が新マップに追加された。ゲームへの本実装前に公共マップで下見を兼ねる者も多く、ルキノもその1人だった。『野外研究』の衣装に着替えて廊下を歩く。ここぞとばかりに普段着れない華美な服に身を包んだ仲間達が楽しそうに駆けている。それを微笑ましく眺めながら、彼もまたマップへ続く扉をくぐるのだった。

     まぶしい光に一瞬目を細めるも、すぐに明るさを受け入れた視界は景色を映す。競馬場の名の通り、大きな円型のレース場が特徴的なマップだ。かつては栄華を誇っていたが、事故が理由で廃れば場所らしい。客席に観客はおらず、馬小屋にも主役達は不在だ。オルフェウスのような探偵思考は持ち合わせていないが、この場所で何が起こったのか少なからず興味がわいてくる。

    「ルキノさん」

     思考の海に浸りそうになったところで名を呼ばれた。顔を向ければ、そこには見知った女性が怪訝な顔で立っていた。

    「やぁノートン。君も来てたのか」
    「また考え事?この前も微動だにしなくて他の人にバグだって心配されたじゃん。ぼくがいなかったら通報されてたよ?」
    「ハハハ、すまない。悪い癖だとは思っているんだがね」

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