愛せるなら愛してみろ/マクジェ しん、と肌を突き刺す冷えた空気。
特別に気温が低いわけではない。言うなれば比喩的な表現で、それほどまでに二人きりの空間が冷めきっていると言うか。
兎にも角にも、少しでも相手の気に触れるような事をすれば、途端に散らす火花が破裂してしまいそうでただずっと互いを見つめ合っていた。
「……」
頑なに押し黙るマークは如何にも何か言いたげで、それでも唇を固く結んだままぎゅっと眉たちを寄せるのが意味もなく己の心を掻き回す。
「言いたいことがあるならハッキリ言えよ」
「別に、何もない」
嘘が下手にも程がある。
無性に苛立ちを呼び起こしてくるマークの口振りに舌を打ってしまいそうだ。
そんな事をしてしまえば余計にこの空間はヒリついてしまうだろう。
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