パイオニア鉄平は悩んでいた。ようやく再生した食材をどう見せるか。相手は次郎、幼少期に生息地へ連れられたが絶滅した食材だった。
次郎に連れられた後もその土地には何度も赴いていた。だが、その度に荒れ果てた土地が目に入り、訪れる頻度は自然と少なくなる。
それなのに、久々に再び訪れたとき、わずかに芽が出ていた。種が根付いていたのだ。
気付いたのは、これは鉄平が知っている種だということ。見覚えがある。昔、次郎とここに来た際に見せてもらったことがある。そのときに次郎の手からたまたまこぼれ落ちた種だったのだろう。または、服に付いていたのかもしれない。
この種は、他の場所では今まで見たことがない。
だから、この土地で咲かせることを試した。水や肥料を与えて対照実験もしたが、失敗。土地自体が荒れ果て、水と肥料を与えたとしてもその栄養を保つ力がなかった。
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